第二次大戦中、アメリカのオーケストラがドイツ軍の捕虜となった。
指揮者と将軍。芸術を愛する二人の関係を描くドラマ。

誇り高き戦場

COUNTERPOINT

1967  アメリカ

107分  カラー



<<解説>>

チャールトン・ヘストンとマクシミリアン・シェル共演で描く異色の戦争ドラマ。第二次大戦中、ベルギーでドイツ軍の捕虜になったアメリカ人指揮者と、芸術を愛するドイツ軍の将軍の関係を描く。原作はイギリスの作家アラン・シトリーの「将軍」。
ルノアールの『大いなる幻影』をはじめ、『真夜中の戦場』、『JSA』などで、幾度となく反戦的な意味を込めて描かれた、国対国の対立の中における人対人の友情のドラマ。本作は、音楽を“大いなる幻影”の媒介として描いているところが特徴で、戦争とクラッシックという取り合わせが面白い。
戦禍という極限状況にあっても芸術至上を貫く将軍の行動は、戦争同等に狂気じみているような気がするが、現代的な劇的な演出と主演二人の芝居が説得力を与えている。ヘストン主演の中ではマイナーでいまだソフト化されていない作品だが、なかなか見ごたえのある拾いものである。



<<ストーリー>>

1944年12月のベルギー。アメリカの指揮者エバンス率いるオーケストラが、慰問コンサートを行っていた時、ドイツ軍の攻撃が始まった。捕虜となったエバンスは、民間人である自分を殺したら国際問題になると主張した。だが、エバンスと楽団員たちはルクセンブルグの指令本部に連行されてしまった。
司令部のアートン大佐の命令が下り、エバンスたちは処刑されそうになるが、シラー将軍がそれを止めた。エバンスのファンだというシラーは、兵士のためにコンサートを催すよう要求した。だが、エバンスはその要求をかたくなに拒否しつづけた。殺されることを恐れた楽団員たちは、意地を張るエバンスに反発し、練習を開始した。だが、エバンスが要求を拒んだ真意は、パルチザンに救出を待つためだった。
一方、シラーはアーント大佐にエバンスたちの処刑を急かされていた。だが、シラーは、現状においては捕虜ではないオーケストラを、コンサートをやらせることで、捕虜という立場に移行さらようと考えていた。
ようやくエバンスも練習に参加するようになった。演奏中の音にまぎれさせ、楽団員の何人かを脱走させるためである。エバンスの試みは成功し、ふたりの楽団員が指令本部から脱出するが、そのうち一人が兵士に見つかり射殺されてしまった……。





<<スタッフ>>