特ダネを狙う新聞記者コンビが脱走した死刑囚を記者クラブにかくまうが…。
『おかしな二人』のコンビの主演によるコメディ。
フロント・ページ
THE FRONT PAGE
1974
アメリカ
105分
カラー
<<解説>>
ブロードウェイのでヒットしたヘクト&マッカーサーの舞台劇の『犯罪都市』(31)、『ヒズ・ガール・フライデー』(40)に続く3度目の映画化。新聞社の編集室での記者たちのなり振り構わないデタラメ具合を、皮肉をこめながら描いた爆笑ドタバタ・コメディ。ちなみに、同原作は、舞台をテレビ局に変えた『スイッチング・チャンネル』として88年に再々々映画化されている。
主演はジャック・レモン(記者役)とウォルター・マッソー(編集長役)。二人の共演というと、『おかしな二人』(68)が最も有名だが、初共演はワイルダーの『恋人よ帰れ!我が胸に』(66)である。本作は、二人の通算3度目の共演ということになり、息のあった軽妙なやり取りが存分に楽しめる作品になっている。ちなみに、ワイルダーの監督としての遺作となった『バディ・バディ』(81)もレモンとマッソーの共演作だった。
気の弱い死刑囚の脱走という騒動の中には、警察やマスコミへの痛烈な批判がこめられ、スレスレのアブないギャグが展開される。中でも、かくまわれていた死刑囚が警察に見つかった瞬間、本社に電話をかけた記者たちが、それぞれに目の前で起こっていることと反することを報告している場面が痛烈だ。レモンとマッソーのコンビが活きた終盤の意外な展開もお楽しみ。
ただし、プロットをなぞるだけでは、本作の面白さは半分も伝わらないようだ。というのも、面白さの多くを占めるのが、記者クラブでの記者と死刑囚と警察官らのウィットに富んだセリフの応酬だからである。そこには原作自体の面白さもあるのだろうか、キレのある脚本とそれを淀みなく演じる俳優のうまさがあってこそで、とにかく舌を巻かされる。また、ワイルダーの監督しては後期の作品になるが、圧倒的なテンポの良さは、まるで衰えを感じさせない。
<<ストーリー>>
シカゴの敏腕新聞記者ヒルディ・ジョンソンが、記者を辞めて恋人のペギーと結婚すると言い出し、編集長のウォルター・バーンズは大弱り。バーンズはヒルディに警官殺しの死刑囚アール・ウィリアムズの最期を撮らせようと考えていたが、それも断られてしまった。ヒルディが記者クラブで記者仲間と祝杯をあげているとき、銃声が轟いた。ウィリアムズが脱走するという事件が起こったのだ。
警察がウィリアムズを追っている最中、知事から死刑執行延期命令が飛び込んできた。だが、次の選挙の票を気にする市長は、ハートマン保安官と申し合わせて、その命令をもみ消し、ウィリアムズを射殺してしまおうと画策した。一方、今夜の夜行列車でペギーと一緒にフィラデルフィアに旅立つ予定でいたヒルディは、置き忘れた婚約指輪を取りに記者クラブに戻ってきた。他の記者はウィリアムズの件で出ていて、部屋にはヒルディひとりだった。すると、そこにウィリアムズが転がり込んできた。
ウィリアムズを見たヒルディの記者の血が騒ぎ出した。ヒルディはバーンズを電話で呼び出すと、ペギーのことを放ったらかしにしてスクープ記事を書き始めた。そこへ、ウィリアムズを捕り逃がしたハートマンと記者たちが戻ってきて……。
<<スタッフ>>