はみだし刑事が出所した相棒と再びタッグを組み麻薬取引の黒幕を追う。

48時間PART2
帰って来たふたり

ANOTHER 48 HRS.

1990  アメリカ

93分  カラー



<<解説>>

刑事と犯罪者のコンビの活躍を描くバディ・ポリス・アクションの続編。監督は前作に引き続き、ウォルター・ヒル。ヒルと言えば、やはりナイトクルージングの画が絶品。前作と同じ型の車で夜のサンフランシスコの街を縦横に走り回る。音楽は前作、そして、『レッドブル』に続き、ジェームズ・ホーナーが手がけている。前作はジャジーだったが、本作では『コマンドー』とそっくりなスチール・ドラムをフィーチャーしたスリリングなスコアでドラマを盛り上げる。
前作より8年振りというこで、大きく変わったのは、主演の一人であるエディ・マーフィ。前作を出世作として、コメディ俳優としてキャリアを積んだ彼の凱旋的な作品となった。彼のキャラクターは、前作のふてぶてしさは後退し、この頃に確立された口が達者でよく笑う男に変化している。つまり、皆が観たいエディ・マーフィを演じているわけで、サービス精神という点においては、その責を果たしているということになる。エディがおしゃれでコミカルである一方、もう一人の主演、ニック・ノルティはコンビのバランスをとるためか、ずいぶんと哀愁が増したというか、すっかり小汚なくなり、まるで老犬のよう。どちらかというと、ニックのほうが犯罪者に見えてしまうところが可笑しい。
ストーリーは後日談という色合いが濃く、内容のパワーアップはあまり期待しないほうがよさそうだ。前作の敵の弟が新たな敵として登場したり、“アイスマン”なる黒幕の存在が明らかになったりと、二作をまたいだ事件の決着をつけようという趣向は、佳作であった前作を貶めない程度の余興としては面白い。刑事と犯罪者のコンビという設定にあまり価値や意味がなくなり、二人の掛け合いも前作ほど過激ではなくなってしまったが、年を重ねて丸くなった二人の友情物語はとても心地よいものがある。演出的にも前作のような荒々しさは無く、キャリアに裏付けられるように洗練されている。ただ洗練されているのではなく、殺し屋バイカーというケレン味を効かせたところがニクい。
ストーリーは前作と繋がってはいるものの、同じことを繰り返すのではなく、監督の成長、俳優の成長、そして、観客の成長に合わせた今の「48時間」を観せたといったところだろう。



<<ストーリー>>

サンフランシスコのはみ出しジャック・ケーツは、麻薬密売の元締めアイスマンを追い続けていた。だが、いまだその正体すらつかめず、同僚や上司からアイスマンの存在を否定されていた。ある日、ジャックはレース場で怪しい取引を行う二人組みを発見。アイスマンの手下だと確信したジャックは二人に声をかけるが、いきなり発砲されたため、撃ちあいに。ジャックが撃ち返した弾はガソリンの缶に命中し、一人は火だまるになったが、もう一人の黒人には逃げられてしまった。
黒人が現場に残していった写真には、ジャックのよく知る男の顔があった。数年前、相棒として一緒に凶悪犯を追い詰めた囚人レジー・ハモンドだった。ジャックはアイスマンとの関係を尋ねるため、数年ぶりに出所直前のレジーを訪ねた。だが、レジーはジャックに預けた金のことばかりを気にしていて、彼に協力するつもりはないようだった。ジャックはひとまず引き上げけることにした。
翌日、レジーが出所した。ジャックは刑務所の前でレジーを待ったが、相手にされなかった。レジーがバスに乗って行ってしまった後、ジャックは一人で食堂に入った。その時、ジャックは店に現れたバイカーから銃撃を受け、胸に数発の銃弾を浴びせられた。バスに乗っていたレジーも併走していた二人組みのバイカーから銃撃された。バスは横転。レジーは運転手の銃を抜いてバイカーに対抗する覚悟を決めた。だが、通報を受けた警察がやってくると、バイカーたちは逃げていった。
防弾チョッキのおかげで一命を取り留めたジャックは、病院で精密検査を受けていたレジーを無理矢理連れ出した。自分が命を狙われていることを知ったレジーは、ジャックの捜査に協力することにした。いったん署に戻ったジャックは、自分が容疑者故殺の疑いで査問にかけられることを知った。レース場での銃撃の事件の現場に相手の銃が見つからなかったためだった。ジャックは内務調査室のブレイク・ウィルソンにバッジと銃を没収され、捜査権も奪われた。
署を出たジャックは、おとなしく待っていたレジーに事件のヒントを求めた。レジーは自分が預けている金がアイスマンから盗んだものであることを打ち明けた。そして、自分を狙ったバイカーの一人が、数年前にジャックが撃ち殺したガンツの弟チェリーであったことも教えた。金のことでまだ怒っているアイスマンは、兄の敵討ちを望むチェリーを使って、自分たちをレジーたちを狙わせているというのだ。
ジャックとレジーは、チェリーの女エンジェル・リーが働いていたバーに向かった。エンジェルは別の店に移っていたが、ジャックは店の女からおとといこの店に来て暴れたというバイカーのことを尋ねた。ジャックの予想通り、例の黒人も来ていたようだった。
店での用は済んだが、ジャックはかつて彼に検挙されて実刑を食らったという男に絡まれることに。ジャックと男は大喧嘩になるが、ここにきて朝からとことんついていなかったレジーの怒りが爆発。レジーは店の防犯用の銃をぶっ放して、皆を黙らせると、ジャックを連れて店を出た。まだ怒りの収まらないジャックにいきなり殴られたレジーは。これ以上付き合えないと言い、人ごみの中に消えていった……。





<<スタッフ>>