一人の美女と彼女の二人の父親候補がマフィアと警察の抗争に巻き込まれる。
アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンド競演によるアクション・コメディ。
ハーフ・ア・チャンス
UNE CHANCE SUR DEUX
1998
フランス
110分
カラー
<<解説>>
アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドが、69年の『ボルサリーノ』以来、28年振りに競演した作品。ドロンの映画引退作でもある。ドロンがベルモンドがかつて愛した女性の娘から父親候補に指名されるが、ひょんなことからマフィアの麻薬取引に巻きこまれていくというストーリー。マフィアから娘を守るために過激に活躍する二人の父親の姿をユーモアいっぱいに描く。二人の娘に扮するのは、歌手としても有名なヴァネッサ・パラディで、名優二人を相手にも気後れしない芝居は堂々としたもの。
いわゆる企画ものということになるのだが、ド派手なアクションはなかなかの見もの。すっかりオッサンになったドロンとベルモンドが、元気いっぱいに演じている様は微笑ましいかぎりで、観ている方も自然と楽しくなってしまう。ベルモンドが「俺は演技派だ!」とか「言っておくがこれで最後だ!」などと、ニクい台詞を吐くのもお楽しみ。監督のルコントは『仕立て屋の恋』と『髪結いの亭主』で日本に紹介されたために、良質のドラマの作家としてのイメージが強いが、本来は軽快なノリのコメディが作風であり、本作ではその本領が発揮されたかたちとなった。
<<ストーリー>>
高級車泥棒の常習犯アリスは刑務所から出る時に、亡き母親ジュリエットの遺言を渡された。そこにはアリスの父親候補として、過去に同時に愛した二人の男の存在が明かされていた。
一人は自動車ディーラーで財を成した元外人部隊のレオ・ブラサック。もう一人は一度も捕まったことのない怪盗ジュリアン・ヴィンアル。
アリスは二人を呼び出し、三人で同居生活を始めた。だが、アリスたちの暮らす南仏では、警察とロシア・マフィアの抗争の真っ最中だった。
ある夜、クラブで男にしつこく追い回されたアリスは、咄嗟にいつもの癖でクルマをかっぱらって帰宅した。だが、そのクルマはマフィアのボス、シェルコフ所有のもので、トランクには麻薬取引の金、五千万ドルが積まれていた。
若き警官キャスレはアリスの行動の一部始終を監視していた。彼は、シェルコフの犯罪の証拠となる五千万ドルを、マフィアと裏でつながる自分の上司である本部長から守るため、その金を奪って駅のロッカーに隠した。
シェルコフの手下はアリスたちを脅迫し、レオとジュリアンのクルマを爆破。そして、二十四時間以内に金を引き渡すよう要求してきた……。
<<スタッフ>>