考古学者インディがインドの邪教の城で秘宝を探しの冒険を繰り広げる。
「インディ・ジョーンズ」シリーズ第2弾。
インディ・ジョーンズ
魔宮の伝説
INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM
1984
アメリカ
118分
カラー
<<解説>>
ルーカスとスピルバーグの製作・監督タッグ、ハリソン・フォードの主演により、往年の冒険活劇を復活させた『レイダース 失われた聖櫃《アーク》』の続編。前作より一年前の話という設定で、インドの秘境にある邪教の城を舞台に、考古学者のインディアナ・ジョーンズ博士が、超能力を秘めた石“サンカラ・ストーン”を探して冒険を繰り広げる。
前作は、モーゼの伝説とナチスの陰謀を絡めたミステリーも面白かったが、本作はストーリーをぐっと分かりやすくして、対象年齢を広げたているようだ。“心臓抜き”などのショックシーンで邪教集団の恐ろしさを印象付けたり、全編を見せ場の連続で畳み掛けるなど、アトラクションとして徹底されている。このジャンルの金字塔のひとつとなっていることを考えれば、それは正解だったようだ。何よりも、誰でも何も考えずに楽しめるところが素晴らしい。
上海の街からインドの山奥へと急展開するアバンタイトルの鮮やかさには目が覚める。本編が始まると、秘石“サンカラ・ストーン”奪還の依頼を受け、舞台はマハラジャの支配する宮殿へ。宮殿で振舞われるゲテモノ料理や、邪教集団の悪趣味な生贄儀式といったお化け屋敷的な演出にはソツがない。後は息つかせぬアクションでラストまでは一気に見せる。基本的には、“主人公のピンチ→形勢逆転→テーマ曲流れる”といったベタな流れの繰り返しなのだが、分かっていてもテンポの良さで見せられてしまう。
前作のヒットにより予算が増えたのか、大々的に特撮を駆使したシーンが見とごろ。クライマックスのトロッコでのチェイスは、前作の巨大な岩と並び、インディ・ジョーンズを象徴する一大ギミックとなっている。一連のシーンはミニチュアを使って撮影されたということだが、自動車によるチェイスシーンにも負けない迫力だ。スピード感はもとより、トロッコならではの頼りなさと危うげさとが相乗効果を上げ、余計にハラハラさせられるのである。
今回のインディの冒険のお供するのは、後にスピルバーグの妻となるケイト・キャプショー演じるクラブの歌姫と、この後、『グーニーズ』にも出演するキー・ホイ・クァン演じる中国人の少年。よくある主人公とヒロインの組み合わせに少年が加わることにより、主人公とヒロインの関係にも変化が生まれた。子供が見ている手前、なかなか素直になれない二人のやりとりがユーモラスに描かれている。時に助け合う三人の関係は擬似家族のようなところも感じられ、特にインディと少年の親子のような絆はささやかながら感動的。また、少年の登場は子供の観客の取り込みに大きく寄与したのではないたろうか。
<<ストーリー>>
1935年の上海。ナイトクラブ“オビ・ワン”で、考古学者のインディアナ・ジョーンズ博士がギャングのラオ・チェ一味と取引をしていた。インディは清の初代皇帝ヌルハチの遺骨を約束通り引き渡し、ダイヤを手に入れた。だが、ラオ・チェは不敵な笑みを浮かべていた。インディの飲んだワインには毒が盛られていていたのだ。インディは、混乱するホールの中で解毒剤を拾ったクラブ歌手ウィリー・スコットを連れてクラブを脱出。外で待たせていた助手の少年ショート・ラウンドの車に乗り込んだ。
ラオ・チェに追われながら空港へ向かったインディたちは、小型機で逃げるが、その飛行機はラオ・チェの会社のものだった。一眠りしていたインディたちが目を覚ますと、パイロットはパラシュートで逃げた後だった。ゴムボートをクッションにして飛行機から脱出したジョーンたちが降り立ったのは、インドの山奥だった。
近くのメイアブール村の人たちに助けられたインディたちは。デリーへの案内を頼むつもりでいた。だが、村の長老はインディにある石を取り戻してほしいと依頼。その石は村が崇拝の対象としている聖なる石“シバリンガ(サンカラ・ストーン)”。その石が、とうの昔に廃墟となったはずのパンコット宮殿に盗まれたというのだ。長老から救世主だと言われ、インディは頼みを断りきれなくなった。
その夜、シバリンガと共に行方知れずになっていた村の子供がパンコット宮殿の方角から息も絶え絶えの様子で帰ってきた。子供が手にしていた羊皮紙には何かの儀式の様子が描かれた。その絵を見て目を光らせたインディは長老の依頼を聞き入れ、宮殿に向かうことを決心した。
翌日、インディとショート、そして、訳も分からず巻き込まれたウィリーの三人は村を出発。パンコット宮殿に向かう道すがら、一行は悪魔のようなものをかたどった不吉な石の塔を発見。それを見た案内の村人たちは、なぜか恐れをなして逃げてしまった。
インディたちが宮殿に到着すると、そこは廃墟ではなく今もマハラジャの住居として賑わってた。宰相のチャター・ラルに迎えられたインディたちは、豪華な(とは言え、気味の悪い料理ばかりの)晩餐で歓迎された。そこでインディは、行きに見た石の塔のことを話し、邪神カリを信仰する暗殺集団サギが今も存在しているのではと問うた。途端に宰相は顔色を変え、まだ幼いマハラジャもそれを否定した。
その夜、宮殿に泊まることになったインディは、ウィリーを口説こうと彼女の部屋を訪ねた。だが、口の悪い二人は互いに素直になれず、喧嘩をしてそれぞれの部屋に戻った。その時、インディは部屋に潜んでいた男に襲われ、羽交い絞めにされた。男を倒したインディはウィリーの身を案じて彼女の部屋へ。インディが戻ってきてくれたことを喜ぶウィリーをよそに、インディは男がどこから侵入したか気になって部屋を調べた。そして、秘密の洞窟を発見した。
洞窟には子供が持ち帰った羊皮紙と同じ図柄があった。インディとショートはウィリーを部屋に待たせて洞窟に入っていった。洞窟には夥しい数の虫が住み、あたりには骸骨がいくつも転がっていた。そして案の定、インディたちは釣り天井の罠にかかってしまった。ウィリーに助けを呼び、辛くも罠から抜け出たインディたちは、さらに奥に進んだ。洞窟の先の空間にはサギの祭壇があり、信者が熱狂的に祈っていた。まさに司祭のモラ・ラムにより生贄の儀式が行われているところだった……。
<<スタッフ>>