両親を亡くした孤独な少女が封印されていた庭に足を踏み入れる。
秘密の庭をめぐる奇跡を描くバーネット原作のファンタジー。

秘密の花園

THE SECRET GARDEN

1993  アメリカ

101分  カラー



<<解説>>

バーネットの児童文学の代表作をポーランドの女流監督アニエスカ(アグニエシュカ)・ホランドが瑞々しく映像化した作品。同作の映画化としては、1919年版、1949年版(本邦未公開)に続く三度目。ホランドにとっては、彼女のハリウッド進出第一作となった。製作総指揮はフランシス・F・コッポラ。『アウトサイダー』、『ニューヨーク・ストーリー』第二話に続くジュヴナイルもの。
本作は、とても暗いトーンから始まる映画である。両親を亡くしたという不幸な境遇はともかく、少しもかわいげのない主人公の女の子。さらに彼女より不幸で、よりかわいげのないいとこの男の子。とりわけ不気味で陰気なのが、不審なくらい子供と会うことを避ける伯父。まるで、邸全体が不幸という呪縛にまとわりつかれているような暗さだ。しかし、だからこそハッピーエンドを願わずにいられない物語なのである。
ある日、少女が邸の中で鍵を発見。大きな邸を探検するワクワク感を伴いながら、封印されていた庭の扉が開かれる。その瞬間からダークだった物語が一変し、鮮やかな色を帯びてくる。少女たちの手で蘇った庭の美しいこと! 庭から溢れ出す生命力により、邸に住まう人々の心が恐れや不安から解き放たれていく様がファンタスティックに描かれていく。
庭の表現などにSFXを用いているが、SFXファンタジーにしなかったところはよくしたもの。ビクトリア朝の世界観とおとぎ話の雰囲気をあくまで守り、秘密の庭を中心とする癒しのドラマに仕上げている。秘密の庭の扉は、まさに閉ざしてしまった心の扉の象徴であり、観る者の心も開放してくれに違いないだうろ。



<<ストーリー>>

インド生まれの十歳の少女メアリー・レノックスは、災害で両親を亡くした後、イギリスの伯父クレーブン伯爵の邸にあずけられることになった。邸には亡き母親の双子の姉リリアスが愛した庭があったが、彼女が死んでからは、クレーブンにより閉ざされていた。偶然、庭へ続く扉の鍵を見つけたメアリーは、メードのマーサの弟ディコンと一緒に庭へ向かった。
長年手入れをされていなかった庭はすっかり荒れ果ていたが、メアリーとディコンは庭に種を撒き、球根を植えていった。ある日、メアリーは広い邸の中のある部屋でクレーブンの息子コリンで出会った。コリンは病気のためこれまで一度もベッドから出たことがないという。メアリーは外の世界を怖がっているコリンのために秘密の庭のことを話した……。





<<スタッフ>>