ある日突然、天才にになってしまった普通の男の運命を描くヒューマン・ドラマ。

フェノミナン

PHENOMENON

1996  アメリカ

123分  カラー



<<解説>>

『クール・ランニング』、『あなたが寝てる間に…』のジョン・タートルトーブがジョン・トラヴォルタ主演で描く異色のヒューマンドラマ。ある日突然、天才的な頭脳を手に入れた男の姿とその周囲で起こる変化を、彼を支える未亡人との愛を中心に描いていく。
主人公が天才になるという主人公というと、どうしても『アルジャーノンに花束を(まごころを君に)』を思わせてしまうが、自分が変わってしまった時、それ以上に変わってしまうのが周りの人々だという点に目をつけたところが面白い。何か大きな変化が起こった当事者としては、それが自分の身に起こっていることだけに、訳もわからず大騒ぎする周囲よりも、冷静だったりするのだ。そのあたりの登場人物の驚きや戸惑いや丁寧に描かれているので、ファンタジー仕立てでありながら、リアリティの感じられる物語に仕上がっている。
天才化の真実が明らかになった後の展開は、よりいっそうヒューマンな要素が濃くなってくる。意外なキャスティングと思われたトラヴォルタも朴訥とした主人公を好演し、思いのほか感動を誘う。物語のハイライトである未亡人との恋愛はとても優しく描かれ、ひじょうに癒されるものがある。未亡人が落ち込んでいる主人公を励ますために彼の散髪をするくだりは、官能的な名場面となった。



<<ストーリー>>

カリフォルニア州の田舎町で自動車修理工として働くごく普通の独身男ジョージは、三十七歳の誕生日の夜に不思議な光を浴びた。その時から頭が冴え渡ったジョージは、毎日、何冊もの本を読み、様々な知識を吸収していった。夜も眠れなくなったジョージは、暇つぶしに、友人のネイトが趣味でやっている無線が傍受した空軍の暗号を解読してみせた。ジョージの天才ぶりはたちまち町の噂に。だが、頭の良くなったジョージにも、理解しがたい現象が彼の身に起こっていた。ジョージは天才になるに加え、念力が身に付いていたのだ。
ジョージは、二人の子持ちの未亡人レイスに思いを寄せていた。ジョージはレイスとおしゃべりしたい一心で、彼女の売るハンドメイドの椅子を大量購入した。ジョージはレイスの家に行くことに成功するが、夫を亡くした経験を持つ彼女は、恋愛を避けようとしていた。その時、体に低周波を感じ取ったジョージは地震を予知し、それが的中してしまった。
翌日、連絡を受けた地震予知の権威リンゴールド博士が、真相を確かめにジョージの元を訪ねてきた。ちょうどその時、町では別の事件が起きていた。食中毒を起こしたポルトガル人の少年が行方不明になっているといたのだ。だが、ポルトガル語の通訳は町にいなかった。知らせを受けたジョージは、二十分でポルトガル語をマスターし、果樹園で苦しんでいた少年を発見したのだった。
驚くべきジョージの天才ぶりを目の当たりにしたリンゴールドは、ハーバード大でジョージを学者たちに会わせる約束した。だが、ジョージの幸福もつかの間、暗号解読の件でFBIに目をつけたに、身柄を拘束される羽目に……。





<<スタッフ>>