ストックカー・レースの祭典“デイトナ”に挑む若者の姿を描くドラマ。
デイズ・オブ・サンダー
DAYS OF THUNDER
1990
アメリカ
107分
カラー
<<解説>>
『トップガン』のトニー・スコット、ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズらが再び手を組んだ作品。トム・クルーズ原案によるストックカー・レースを舞台にした青春もの。フォーミュラの世界からストックカー・レースの世界に飛び込んだ若者が、中年整備士との絆、ライバルとの対決、そして、女医とのロマンスなどを通して成長していく姿を描いていく。見どころであるレース・シーンは迫力や臨場感よりも、ロックの楽曲を多用したミュージックビデオのような画作りで、かっこよさが際立った仕上りになっている。まさに、車版『トップガン』といった作品である。
カーレースの世界というと、そこはもう男だけの世界。出演者は男ばかりで、物語の中盤まで女性がほとんど登場しないという徹底した汗臭さである。トム・クルーズとニコール・キッドマンの仲をとりもった映画とされているが、二人のロマンスも男の世界を崩さないどころから、むしろされを補助しているかのよう。無邪気にロマンを追い求める男と、半ば呆れながらも健気に見守る女という構図は、男のエゴ丸出しで気恥ずかしいが、あまり深く考えずに観れば、グッと来るものがある。
主人公の青春を描くドラマ部分に関しては、どのエピソードをとっても、そうとうにクサく感じられる。というのも、主人公の家庭の事情とか相棒の整備士の過去など、それなりにシビアな背景があるのに、あまり深刻さや切実さが感じられないためだろう。しかし、仮に重い話にしてしまったのでは、期待される映画製品としての機能は果たさなかっただろう。男の世界を描きながら、サクっと観られ、適度にかっこいい娯楽作。そう、いくらクサくても、とにかくかっこいいのである。それが『トップガン』に続く作品として求められたものであり、そういう意味ではこれ以上望みようのない作品なのである。
<<ストーリー>>
全米を熱狂させるストックカー・レース“デイトナ500”。今年のレース・シーズンが始まったある日、ディーラーのティム・ダランドは、ノースカロライナ州シャーロットの農場で働いてた名整備士のハリー・ホッグを訪ね、レースカーの制作を依頼した。名ドライバーのバディ・ブラザートンをレース中の事故で亡くして以来、もうレースには戻らないつもりだったハリーだったが、ティムに押し切られ、彼の見つけてきたドライバーと会うことに。
テストトライビングに現れた青年コール・トリクルは、これまでフォーミュラで多くの優勝経験があるものの、トラックカーにはじめて乗るのはまったくの初めてだった。だが、コールはデイトナの現王者ラウディの車を借りると、ラウディを超えるタイムを走りきった。ハリーはコールの才能を信じ、レースカーの制作に着手。ハリーもデイトナでの優勝を宣言した。
こうしてティムのチームがレースに参戦し、コールはサーキットで走り始めた。ところがコールは、車体をこすり合わせながら走るトラックカー・レースのスタイルになかなか馴染めず、思うように実力が出せなった。コールはその苛立ちをハリーの整備の悪さのせいにし、たびたび彼と衝突し合った。
このままではスポンサーがつかないことを恐れたティムは、コールとハリーに歩みより促した。ハリーと話し合ったコールは、運転は出来ても車については疎いことを告白。了解したハリーはコールに車の技術的な知識な与えた。コールもハリーの言うことをよく聞きながら走るようにり、徐々に実力を発揮していった。
コールはダーリントンでのレースでトップのラウディを抑え、初優勝を果たした。だが、続くデイトナビーチでの夏季レース“ファイヤークラッカー400”でコールはラウディと共に不運に見舞われることになった。激しいデッドヒートが繰り広げられるケースの佳境。コース上の事故車の煙に巻かれたコールとラウディは、激しいクラッシュを起こした。ヘリで病院に緊急搬送された二人だが、事故の衝撃で脳を激しく揺さぶられ、コールは視力を失っていた。
翌日、視力の回復したコールの病室にやってきたのは、白衣を着た美しい女性。コールはハリーの悪戯だと思い、女性に失礼な態度をとった。だが、その女性クレアは彼の主治医だった。治療を終えたコールとラヴディは、しばらく様子を見るという条件でレースへの復帰を許された。
晴れて退院することになったコールだったが、クレアに惹かれ、忙しい彼女をデートに連れ出そうとあれこれ画策。そして、自分とコールの検査という名目でクレアを誘い出すことに成功した。約束通り二人の検査をしたクレアは、ラウディの脳に内出血の疑いがあることに気付いた。クレアはラウディに再入院を勧めるが、その後、彼は姿を消してしまった……。
<<スタッフ>>