「騙されるより騙せ」を家訓とする詐欺師一家が東京に上陸。
彼らが巻き起こす騒動を描くコメディ。


平成無責任一家
東京デラックス

1995  日本

109分  カラー



<<解説>>

『月はどっちに出ている』で話題となった崔洋一と鄭義信の監督脚本コンビの二作目。岸谷五朗、絵沢萠子、ルビー・モレノら前作のキャストも引き続き出演した。前作は、在日朝鮮人のタクシードライバーとフィリピーナのホステスのロマンスという斬新な切り口で在日コリアン問題を描いたシリアスな作品だったが、本作は詐欺師一家という漫画的な人々の破天荒な活躍を描いたオフビートな作品である。東京スカパラダイス・オーケストラの音楽も軽妙な乗りにマッチしている。
詐欺師が主役とは言っても、本作には人を騙す小気味よさや鮮やかさはあまりない。テクニックよりも押しの強さと図々しさで乗り切り、度重なる失敗にも懲りず、あの手この手で詐欺をはたらく一家のしたたかさを前面に出している。語られるエピソードにしても、詐欺作戦に関するものより、家族の誰それがこんな目にあった、といったものの方が興味深く描かれている。やはり、家族のあり方といったテーマが強く、コン・ゲームものというより、たまたま詐欺師だった特異な一家の、ちょっとしょっぱいホームドラマに仕上がっている。反社会的な一家だが、そのことを抜きにすれば、これも家族の理想の形のひとつといえるのかもしれない。



<<ストーリー>>

四国に暮らす飴屋家は、「騙されるより騙せ」を家訓とする詐欺師一家。母親マツと種違いの四人の兄弟、そして、マツの愛人・君夫らは、選挙賭博で一儲けしようとするが失敗。逃げるように四国を出て東京にやってきた。飴屋一家に金を騙し取られた親戚三人も後を追って上京。合流した飴屋家と親戚たちは、三男の進が見つけてきた床屋の老夫婦を騙して店に居座って、詐欺作戦を開始するのだった。
精子バンクの職員や政治家に成りすました一家は、金を持って会社社長や料亭の女将をカモに詐欺にいそしんだ。順調に金儲けが進んでいたかと思われたが、ある日突然、長男の敬が家出をしてしまった。一方、一人でポン引きをしていた末っ子の純は無茶をして、仕事をもらっていた売春クラブに痛い目に遭わされてしまった。さらに、君夫はカモにしていた女将の秋子に惚れて二人で逃げてしまった……。





<<スタッフ>>