レイプされたトップ・モデルが犯人の教師を訴えるために立ち上がる。
セカンド・レイプを題材にしたサスペンス。
リップスティック
LIPSTICK
1976
アメリカ
89分
カラー
<<解説>>
暴行事件の被害者が裁判の過程で再び心を傷つけられるという、いわゆるセカンドレイプを扱った問題作。姉妹のレイプ犯への復讐劇をサスペンス・タッチで描き、アメリカの社会問題である暴行事件を怒りを込めて訴えるだけでなく、アメリカの法廷における差別の実態やそれに伴うの問題など、司法のあり方も問う社会派の内容となっている。
弁護士が言葉で姉妹をネチネチと責めたてる法廷シーンの生々しさ。姉だけでなく、まだ幼いさない妹が犯される暴行シーンの惨たらしさ。不快感をもよおすシーンが多いが、レイプ被害の悲惨さを改めて痛感せずにいられない。自分を傷つけた法廷に運命を決定される皮肉なラストも考えさられるものがある。
本作は、あの文豪ヘミングウェイの孫姉妹の映画初出演が話題となった。ヘミングウェイ姉妹の姉のマーゴは既に死去しているが、妹マリエルは次作『マンハッタン』で堂々とした演技を見せた後、現在でも女優として活躍中。また、本作と同テーマの作品としては、後に『告発の行方』(1988)が作られている。
<<ストーリー>>
トップ・モデルのクリス・マコーミックは、13歳の妹キャシーと二人暮し。ある日、クリスはキャシーの音楽の先生スチュアートを家に招いた。彼が作曲したテープを聴くためである。だが、スチュアートの持ってきた曲はクリスの理解を超えたものだった。スチュアートはテープをクリスに中断されたことに腹を立て、彼女に襲い掛かった。ちょうど帰宅したキャシーは、クリスがスチュアートに冒される現場を目撃することに。
クリスはレイプ事件で被害者が勝てる見込みはほとんどないと知るが、それでもスチュアートを訴えた。クリスを法廷で待ち受けていたのはたえがたい屈辱だった。スチュアートの弁護士は、クリスが魅惑的なモデルであることを強調し、むしろ被告の方が被害者であるかのような主張を繰り返したのだ……。
<<スタッフ>>