財政難にあえぐ教会を音楽の力で助けようとする
神父の姿を描くヒューマンドラマ。

我が道を往く

GOING MY WAY

1944  アメリカ

130分  モノクロ



<<解説>>

アカデミー賞7部門に輝く音楽映画の名作。舞台はニューヨークの教会。財政難に苦しむ教会をすくうため、音楽好きの神父が助っ人にやってくるところから物語である。“奮闘もの”というジャンルに別けられるかもしれないが、不必要にはしゃいだり、安っぽい感動を押し付けてくるような作品ではない。作品全体を包み込むやさしくしっとりとした語り口が絶品で、神父たちのひたむきな姿に素直な気持にさせてくれる作品だ。
伝統と格式を重んじ教会に閉じこもる老神父と、人と触れ合うためジャンパーを着て街に繰り出していく助っ人神父。主人公の二人の神父は共に極端な人間であり、観客にとっては非常に感情移入しにくい人物だろう。しかし、確執がありながらも次第に歩み寄っていく様が物語に巧みに織り込まれていいるため、いつのまにか二人の神父の人間的魅力に引き込まれていくはずだ。二人の神父が世代を超えた友情を交わすラストも素晴らしい。
助っ人神父が老神父の反対に遭いながら音楽の力を使って教会の建て直しに挑戦していくというストーリーはおなじみ感じがするが、実は「天使にラヴ・ソングを…」シリーズの基になったと言われている。もちろん、「天使…」同様、神父と聖歌隊が歌う(チャック役のクロスビー自ら歌唱)ハイライト・シーンも本作の見どころだ。本作は本国で大ヒットを記録し、『聖メリーの鐘』という続編が作られた。62年にはジーン・ケリー主演でテレビドラマ化もされた。



<<ストーリー>>

ニューヨーク。老神父フィッツギボンはの聖ドミニコ教会を四十年にわたって守ってきた。だか今、教会は財政の危機に立たされていた。そんなある日、司教の命で聖ドミニコ教会の立て直しのために助っ人のチャックことチャールズ・オマリー神父がやってきた。チャックは町の人々と積極的に接することが大切だと考える実践主義者だった。街の悪ガキたちは教会や神父を敵視していたが、ざっくばらんで面倒見良いチャックに一目置くようになった。
やがて、チャックは自分を慕う悪ガキたちを集めて聖歌隊を結成した。だが、フィッツギボンはチャックの考え方や行動に違和感を覚えていた。彼は司教にチャックの解任を頼みに行くが、お払い箱は自分の方だった。フィッツギボンは自ら教会を出て行き、路頭に迷った。チャックはフィッツギボンが自分を追い出そうとしていたことを問わず、彼を再び教会に受け入れたのだった。
ある日、チャックはかつてその歌声にひかれていたオペラ歌手のジェニー・リンドンと再会した。現在、彼女は大歌劇場のプリマドンナになっていた。チャックが面倒をみた家出少女で歌手を目指しているキャロルは、音楽を使って説教をするアイデアをチャックに提案した。かつて作曲家を志していたチャックは、ジェニーの助けで、長年あたためていた自作の曲「我が道を往く」をレコード会社に売り込むことにしたが…。





<<スタッフ>>