試験で高い点数を取ることだけに懸ける
ハーバード大の学生たちの奮闘を描く青春ドラマ。
ペーパー・チェイス
THE PAPER CHASE
1973
アメリカ
113分
カラー
<<解説>>
誰もいない教室に厳かに続々と学生が集まってくる緊張感のあるオープニング。講義が教授と学生の戦いの場と化す授業風景がエキサイティングに描かれるカレッジ青春もの。若気の至りの冒険、大人への反発、夢へ挑戦といった発散的な青春を描いた映画は数あれど、試験や勉強に明け暮れた青春を描いた内向的な青春映画は珍しい。しかし、どちらかと言えば、後者のような青春を送った人たちの方が多数派だろう。憧れを具現化した青春映画よりもリアルな手触りの映画であり、多くの人が共感したり、身につまされたりする作品ではないだろうか。
落ちこぼれて自殺を図る友人や、主人公の生き方を否定するガールフレンドなど、この手の青春ものの定番のエピソードがひととおり用意されているが、この映画の魅力はその濃厚な空気である。自ら進んで抑圧された学生生活を選びながら、その実、本当の自由を求めるもがく学生たち。ひたすら勉学に励む姿はそれほど深刻ではないように見えるが、その裏で渦をまいている鬱屈がひしひしと伝わり、非常に密度のある青春映画となっている。意外な爽快感のあるラストも素晴らしい。本作は本国アメリカではテレビ・シリーズ化された。
<<ストーリー>>
ハーバード大の優秀な学生ハートは、学生たちの誰もが畏れる荘厳なキングスフィールド教授の契約法の第一回講義に出席。だが、ハートは講義中にキングスフィールドから出された質問に答えられず、彼への畏れは強まってしまった。
ハートにはひょんなことで出会ったスーザンというガールフレンドがいた。優秀な成績をとれば良い人生を送れると信じるハートは、必死に予習をしてエリートの仲間入りを目指していた。だが、スーザンはそんなハートの人生観には否定的だった。
キングスフィールドの懇親会に招かれたハートは、その時になってはじめてスーザンが教授の娘と知った。ハートはスーザンと付き合っていることで、教授から目をつけられているのではないかと過敏になっていった……。
<<スタッフ>>