ひょんなことから背中に背負える携帯型ロケットを手に入れたことで、
空飛ぶヒーローになってしまった青年の冒険を描くSFXアドベンチャー。
ロケッティア
THE ROCKETEER
1991
アメリカ
108分
カラー
<<解説>>
携帯型ロケットにより、自由に空を飛び回るという夢を描き出した、ディズニー提供のアドベンチャー・ファンタジー。原作は、デイヴ・スティーヴンスの人気コミック。監督は、『ミクロキッズ』でデビューし、後に『ジュマンジ』を手がけることになるジョー・ジョンストン。ファンタジー作に対する定評通り、本作も子供から大人まで楽しめるエンターテインメントに仕上げている。
物語の舞台は、戦時色が現れつつある30年代のロサンゼルス・ハリウッド。かの実業家ハワード・ヒューズが開発した、背中に背負って空中を飛ぶこと出来るバックパック型のロケットが盗まれる。それを偶然に手に入れたのが、飛行機乗りの青年。ロケットを使って一躍ヒーロー“ロケッティア”となった青年だったが、そのロケットを狙うハリウッド・スターやギャングやFBIの争いに巻き込まれていることに。
ストーリーは、コミックが原作であるだけあり、はっきり言って荒唐無稽だが、ストーリー以外の世界観のディテールは豊か。フライトジャケットと一体でデザインされたロケッティアをはじめとし、飛行機がらみは特に拘っていそうだ。見事にかもし出された古きよき30年代の雰囲気が、観客をファンタジーの世界へいざなってくれる。
肝心のロケッティアの飛行シーンは少ないものの、勢いあまって洗濯物につっこんじゃったりする期待通りのシーンはなかなかの楽しさ。合成は今にしてみればやや雑だが、本物のヒーローのように自力で空を飛ぶのではなく、機械の力で空を飛ぶ心もとなさが良く出ている。自由に空を飛ぶというのは夢ではあるものの、機械を利用するということに比較的現実味がある分、想像力を掻き立てる好SFXに仕上がっている。
本作は出演者にも恵まれていて、名優アラン・アーキンが主人公の頼れるメカニック役で、4代目ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンがロケットを狙う悪役で出演。主人公を演じるビル・キャンベルと、ヒロインのジェニファー・コネリーのカップルも初々しい。ちなみに、二人は本作の今日共演がきっかけで婚約(後に破局)。
<<ストーリー>>
1938年のロサンゼルス。全国大会への出場を目指す飛行機乗りの青年クリフ・シーコードは、相棒の技術者ピーヴィーがついに完成させた小型機の初飛行に挑んだ。飛行機は無事に離陸したが、タイミング悪く直下の地上ではFBIが泥棒を追跡中。FBIが乱射した銃の弾がクリフの飛行機のエンジンに当たったため、そのまま墜落すかっこうで滑走路に戻った。飛行場の格納庫に追い詰められた泥棒のウィルマーは、盗んだブツをその場にあったボンベに摩り替えた。その直後、車は爆発。重態となったウィルマーは、FBI捜査官フィッチにブツも一緒に爆発したと告げ、黒焦げになったボンベを指した。
ウィルマーが盗み出したものは、飛行機王で知られる実業家ハワード・ヒューズが開発したバックパック型のロケット“X−3”だった。ヒューズはそれが兵器として使用されることを恐れていたが、FBIから“X−3”が破壊されたと報告され、一安心したのだった。
ギャングのエディ・ヴァレンタインにロケットを盗むよう依頼したのは、ハリウッドの映画スター、ネヴィル・シンクレアだった。盗みが失敗したことを知ったシンクレアは、殺し屋のローサーを使って入院中のウィルマーにロケットの隠し場所を吐かせた。
一方、クリフとピーヴィーは、飛行機の墜落のおかげで飛行場に損害が出た件で、飛行場の持ち主ビゲローから多額の弁償を迫られていた。航空ショーでピエロをやるくらいしか金を作る方法が思いつかず、途方にくれていたクリフたちは、飛行機の中からウィルマーの隠したロケットを発見。はじめそれがどういう装置なのかわからなかったが、背中に背負うためのベルトがついていることを見て、使い方に気づいた。
深夜、飛行学校から持ち出したリンドバーグの銅像にロケットを背負わせて実験した結果、空を飛ぶための装置であることを確信。クリフはロケットで飛ぶところを見世物にして、弁償代を稼ぎ出すことを思いついた。
クリフの彼女、ジェニー・ブレイクは女優の卵。彼女はデートの時、オーディションに受かってシンクレアと共演する役をもらえたことをクリフに報告した。一方、クリフは初飛行が失敗したことを正直に話せず、その他人行儀な態度でジェニーを怒らせてしまうのだった。
翌日、クリフはジェニーに謝るため、シンクレアの映画が撮影されていた撮影所に潜入した。シンクレアはクリフに撮影を邪魔にされたことに腹を立てが、彼がジェニーに例のロケットのことを話しているのを偶然耳にすることに。シンクレアはクリフからロケットを取り上げるチャンスを掴むため、大役をエサにジェニーに近づいていった。
一方、クリフは撮影所に寄ったために、出演予定の航空ショーに遅れてしまった。遅刻したクリフの代わりにピエロとして飛行機に乗ったのは、プログラム売りのマルコム。彼が飛行機に乗るのは二十五年ぶりのことだった。マルコムの飛行機は空中でエンジンの調子が悪くなり、墜落の危険が出てきた。地上でマルコムを見ていたクリフは居ても立ってもいられなくなり、までテストを十分に行っていないロケットで助けに向かった。ジェット噴射で大空に舞い上がったクリフは、墜落する飛行機からマルコムを間一髪救出したのだった。
航空ショーの取材に来ていた新聞記者たちは、突然登場した空飛ぶヒーローのことを記事に書きたてた。クリフは正体を明かさずその場から去ったため、空飛ぶヒーローはヒゲローの命名で“ロケッティア”と呼ばれ、町じゅうの話題をさらった。“ロケッティア”の登場で、フィッチたちFBI、エディたちギャング、そして、殺し屋ローサーが動き出した……。
<<スタッフ>>