天国の入り口にて、人生でもっとも思い出深い場面を選び出そうとする死者たちと、
その思い出を再現しようとする人たちの姿を描くファンタジー。
ワンダフルライフ
1999
日本
118分
カラー
<<解説>>
是枝裕和監督の劇場映画第2作。是枝監督はテレビのドキュメンタリー番組出身であるだけに、本作は「人生の価値」というテーマにドキュメンタリー的なアプローチで挑んでいる。人生でもっとも思い出深い一場面を選び出す死者と、その思い出を映像として再現しようとするスタッフたちを描いたファンタジーである。しかし、映画は大半がインタビューの形式で進行し、俳優が演じる死者へのインタビューという虚構と、死者役の素人へのインタビューという現実が入り混じる奇妙な構成となっている。自分の人生を振り返り、その中から最良のひと時を見つ出すという人生最後の仕事に真摯に取り組む死者たちの姿、そして、死者たちの思い出に出来るだけ近いものを再現しようとする懸命になるスタッフたち姿は、たいへんに感動的。決して押し付けがましくなく、素直に自分の人生について考える機会を与えてくれる作品である。国際的にも評価を受け、ハリウッドでのリメイクの話が持ち上がっているとか。
<<ストーリー>>
地上と天国とを結ぶ世界。ここで生活する望月たちの仕事は、亡くなった人間に選んでもらった一生でいちばんの想い出深い場面を再現することである。死者はその最良の一場面を胸に天国へ旅立っていくのだ。
死者たちがひとつの思い出を選び出すのに与えられる期間は三日間。望月たち職員たちは、その期間に死者たちと面談し、彼らから思い出の場面を引き出していく。だが、望月は、担当する一人の老人・渡辺に手を焼かされることになるのだった。
渡辺は戦中に京子という女性と結婚したが、恋愛があったわけでもなかった。妻には先立たれていて、子供もいなかった。望月は、何もいい思い出がないと諦め気味の渡辺のため、彼の人生のすべてが録画されたビデオテープを発注することにした。だが、渡辺のビデオを一緒に観た望月は、突然、担当を替えて欲しいと所長の中村に相談した……。
<<スタッフ>>