アウシュビッツから開放後、ニューヨークで恋人と暮らすソフィー。
収容所時代にソフィーが強いられた選択とは?
ソフィーの選択
SOPHIE'S CHOISE
1982
アメリカ
150分
カラー
<<解説>>
ウィリアム・スタイロンの小説を基に、ホロコーストを斬新なアプローチで捉えた衝撃作。それが許しがたい犯罪であることは、誰もが頭で理解していても、実感としてはどの程度あるだろうか。ホロコーストを題材にした作品は巷に数あれど、ほとんうに共感できた作品はどれほどあっただろうか。この問題を訴える側にとっては、「どう共感させるか」というのが大きな課題だったはずだ。本作はかなり過激な形ではあるが、観客の共感を得て、考えされるに至った数少ない映画と言えるかもしれない。
舞台はニューヨーク。作家志望の青年が謎めいたカップルと出会うところから物語は始まる。アウシュビッツを生きて出たポーランド人の女性ソフィーと、彼女を保護したユダヤ人の男。彼らは誰にも言えない秘密を抱えて生きていた――物語は彼らの抱える秘密を最後まで明かさずに、三人の生活を綴っていく。観客は、彼らの振る舞いの中に、心に深く刻み付けられ悪夢に苛まれながらギリギリのバランスで生きる人間の姿を見ることになるだろう。
結末を導くための手段とは言え、人間の心の闇を鋭く抉り出すような展開は非常に残酷である。観る者に緊張を強いる作品であるため、観賞にはある程度の覚悟は必要かもしれない。肉体的、精神的苦痛のみならず、人間の尊厳をも蹂躙する恐るべき犯罪を描いた結末には、間違いなく言葉を失うはずだ。訳ありカップルに扮したメリル・ストリープとケビン・クラインの鬼気迫る芝居は、間違いなく彼らのベスト・アクトである。
<<ストーリー>>
ニューヨーク。駆け出しの小説家スティンゴはブルックリンのアパートを借りた。スティンゴは同じアパートに住むカップル、ソフィーとネイサンと出会い、友達になった。
ソフィーはアウシュビッツの収容所を生きて出たポーランド人であった。当てもなくアメリカにやって来た彼女は、製薬会社の研究員であるネイサンに拾われたのだという。ネイサン自身もユダヤ人であり、ナチスに対して激しい憎悪を抱いていた。また、彼はソファーに対してとても嫉妬深かったが、そんな彼にスティンゴは人間的な魅力を感じていた。
ネイサンが取り組んでいた研究で大発見をした。成功を祝った夜、ネイサンがソフィーに、彼女一人だけが助かった理由を問い詰めた。翌日、ネイサンとソフィーはアパートから姿を消した。
スティンゴはソフィーを探して彼女の友人を訪ねた。その時、ソフィーの父親が意外にも反ユダヤ主義であったことを知った。その夜、ソフィーがアパートに戻ってきた。ソフィーは、スティンゴが父親のことを知ってしまったことを知ると、収容所での体験を彼に話した……。
<<スタッフ>>