ライバル店の出現で経営難に陥ったスーパーを救うため、
スーパー大好き主婦が奮闘する様を描くコメディ。

スーパーの女

1996  日本

127分  カラー



<<解説>>

「女」シリーズ第4弾。安土敏「小説スーパーマーケット」に基づくサクセス・コメディ。これまで、社会派エンターテインメントの旗手として、問題意識を伴った告発的な内容の作品を連発してきた伊丹監督だが、なぜか本作はずっとゆるく、スーパーマーケットが題材。ひとつの社会問題を詳細にわたり徹底して描いた伊丹映画の技法を、よくある“奮闘もの”に持ち込んだパロディとも言える作品だ。これまでにも増して軽妙な作品であるものの、伊丹映画にしてはテーマに迫力に乏しかったせいか、当時はあまり評価されなかった。しかし、食の安全性が問われる昨今から見れば、スーパーで横行する食品管理のずさんさや“リパック”の事実をつまびらかしたことを見ると、あまりに先見性のあった作品だったと認めざるを得ない。
「○○の女」とは言っても、社会問題をテーマとした他の「女」シリーズとは、趣の異なる作品であるため、単純に比較するの難しいが、トータルとしての面白さは他の作品に引けを取っていない。特徴的なのは、これまでの「女」シリーズが主人公と明確な敵との対決を描いていたのに対し、本作は主人公が対決すべき相手が身内にあるという点である。つまり、ライバル店との闘いよりも、スーパー内部での闘いが多く描かれいる。主人公の目的も「お客様に喜ばれたい」という前向きなものであり、その目的に向かっていく様がさわやかに描かれている。遅れてきた青春映画といったノリなっているのが愉快だ。共感を呼ぶ身近な題材に加え、テレビで人気のタレントの多数出演も賑やかであり、まさに、劇中のスーパー同様、お客様の立場に立ったサーザス精神あふれる作品となっている。



<<ストーリー>>

スーパー“正直屋”を経営する五郎は、激安を売りとするライバル店“安売り大魔王”の出現でピンチに追い込まれていた。そんな時、五郎は“安売り大魔王”を偵察中に同級生で花子と再会。五郎は、花子がスーパー好きが嵩じて、スーパの事情通でもある知ると、彼女を自分の店で雇うことにした。
“正直屋”は様々な問題を抱えていたが、花子は次々とアイデアを出して、それらを改善していった。特に客から募った意見を生かし、客の立場に立った店作りを目指すことで、倒れる寸前だった“正直屋”を立て直していったが……。





<<スタッフ>>