沖田総司は女だった!?
激動の幕末を舞台に沖田、土方、坂本竜馬の三角関係を描くコメディ。

幕末純情伝

1991  日本

カラー



<<解説>>

舞台化もされたつかこうへいの原作の小説「幕末純情伝 龍馬を斬った女」の映画化。「沖田総司が女」という奇抜な設定と、その沖田をトップ・アイドルの牧瀬里穂が演じるということでも話題となった。牧瀬演じる沖田、渡辺謙演じる坂本竜馬、杉本哲太演じる土方歳三の恋の三角関係を軸に、己の志に青春を捧げた幕末の若者たちの姿を描いていく。幕末の志士とはいっても、人物像は非常に現代劇。また、かる〜い乗りとスピーディな語り口の他、仮にも歴史ものとは思えないポップな音楽が全編に流れるという、斬新な作品となった。しかし、乗りの軽さとは裏腹に、背後にはシリアスなドラマがあり、ギリギリのところで展開する三角関係はなかなか切ないもので、手に汗握らされる場面も多々ある。歴史上を切り開いた人物たちも、あんがい本作で描かれるように、現代人にも共感できるような悩みを抱えていたのだろう。虚実入り交ざった物語とは言え、等身大の志士たちの姿に迫った作品といえるかもしれない。



<<ストーリー>>

剣の腕の立つ美青年・沖田総司は、道場破りの帰りに浪士隊募集の立て札を見て、京にて新撰組一番隊に加わることになった。実は沖田は女性。彼女は、お仕着せよりも志に生きることを信条とする隊員の土方歳三に憧れ、彼に密かに思いを寄せるようになった。
ある夜、沖田は局長の近藤勇ら共に、鴨川に浮ぶ屋形船を襲撃した。狙いは、倒幕の相談をしている坂本竜馬と桂小五郎である。沖田は坂本と一対一になり、敵を撃つ絶好の態勢となった。だが、能天気な坂本は、女と知った沖田に抱きつき、彼女の戦意をそいだ。沖田は坂本をひきはがすが、突然の吐血で倒れてしまった。
不穏な動きをする薩長を相手に活躍する新撰組は、女性たちに大変な人気で、特に沖田の人気が高かった。沖田のファンたちは、沖田を女と知ってか知らずか、肺病で安静にしていた屯所にまで押しかけるほどだった。そんな新撰組の人気にあやかり、偽者が現われ町で悪さをするようになった。ある夜、沖田と土方は、偽・新撰組に追われていた町娘の深雪を助けることに。だが、深雪は桂が差し向けたスパイだった。
土方は、ショックで倒れた深雪を屯所で解放するうち、二人は親密になっていった。沖田は、深雪に鼻の下を伸ばしている土方が不愉快でならなかった。一方、坂本は大胆にも朝幕連合による新政府の計画をぶち上げていた。だが、公家の岩倉具視側についている桂にとっては、暴走する坂本は邪魔でしかなかった。桂が深雪を新撰組にもぐりこませた真の狙いは、彼らを使って坂本を暗殺することだった。
土方や沖田たちは深雪に案内されるまま、坂本や桂の同席する宴席を襲撃。それが桂の企みとも知らずに、土方たちは大暴れするが、肝心の坂本を撃つことが出来なかった。泥酔状態の坂本は、沖田が女性であることを暴露したり、いつまでも刀を振り回している土方の時代遅れを批判したりし、終いには坂本を素手で殴りつけたりしたのだった。
新撰組はその活躍や人気とは裏腹に、批判や苦情も相次いでいた。坂本の襲撃の際に茶屋を破壊した件については、千数百両もの弁償代が請求された。これには監督者の松平容保も業を煮やした。新撰組に下された沙汰は罷免だった。屯所に戻った隊員たちが途方に暮れていた中、突然、土方と沖田が刀を抜き喧嘩を始めた。互いの気持ちのすれ違いに対する苛立ちが爆発したのだ。沖田に剣の腕の差を見せつけられた土方は、屯所を飛び出し行方を暗ましたのだった……。





<<スタッフ>>