核戦争後、地上で人間との共存をはじめた猿と、
再び世界の支配を企む人間とたちとの戦争を描く。
シリーズ最終作。
最後の猿の惑星
BATTLE FOR THE PLANET OF THE APES
1973
アメリカ
93分
カラー
<<解説>>
「猿の惑星」シリーズの完結編。監督は前作に引き続きJ・リー・トンプソン。ロディ・マクドウォールが引き続き猿人シーザーを演じる他、リザ役のナタリー・トランディやコルプ役のセヴァーン・ダーデンが引き続き出演している。マクドナルド役は交代。本作は2670年を起点として、2003年の出来事が神話として語られるという構成になっているが、その神話の語り部として冒頭とラストに登場する老猿として、ジョン・ヒューストンが特別出演している。
前作で革命が描かれたので、次に描かれるべきものは自然と内紛や戦争ということになってくる。物語の舞台は前作から十年。核戦争で文明が滅んだ後、シーザーをリーダーとした猿と生き残った人間が協力し、廃墟と化した都市から離れた荒野に新たな社会を建設しようとしていた。だが、人間たちとの共存を拒むゴリラが反乱を起こし、放射能で汚染された都市で生き延びていた人間による侵略もはじまってしまう。革命以来、主人公が手荒なことを避けるようになったたため、アクション面に関しては前作よりおとなしく、肝心の戦争も小競り合い程度になってしまったが、平和な世界を築くことの難しさを考えされる風刺としては機能的であり、2000年という途方もない物語をうまくまとめたところも良くしたものである。
本作において、1作目に登場する廃墟や、2作目に登場するミュータントのルーツといった“猿の惑星”に関する謎がすべて明らかになる。しかし、本作から1作目には必ずしもつながらないようだ。というのも、コーネリアスたちが未来からやってきたことで歴史が変わってしまったからである。3作目では、猿が反乱を起こすまでに数世紀かかったことや、はじめに喋った猿が“アルド”であることが明かされてるが、実際には革命から10年、コーネリアス到着から30年という短期間のうちに猿は急激に進化している。それは、単に作品を重ねる毎に整合性がとれなくなっただけのとこなのだろうが、主人公が未来をより良いものに変えていく意思を表明していることを考えると、シリーズを通し、未来は必ずしも決定されたものではないという希望を伝えた作品ともみることができる。
<<ストーリー>>
猿の起こした革命から十年が経過した2003年。人間の文明は原爆によって滅ぼされ、都市は廃墟と化していた。2000年後の未来からやって来たコーネリアスの息子シーザーは、何もかもが失われた地上で王となり、生き残った人間たちと共に新しい世界を築き始めていた。猿たちは「猿は猿を殺さない」という神聖な掟を守り、平和に暮していた。シーザーは、猿と人間の平等をうたっていたが、かつての支配者である人間が猿の召使の立場に落ちていたのが現実だった。
前知事の補佐官で今はシーザーの参謀となっていたマクドナルドは、人間の歴史を学ばず未来を楽観視していてるシーザーが心配だった。マグナルドは、理想の未来を信じるシーザーを戒めるため、未来の現実を見せることを思いつき、シーザーの両親に関する資料を調査することを提案。孤児であるシーザーは、両親について知ることに興味を示し、マクドナルド、オラウータンの“物知り博士”バージルと共に村を旅立った。
シーザーたちは三人は砂漠を越え、放射能で汚染された廃墟の地下にある米軍の資料庫にやってきた。そして、倉庫に保管された膨大なフィルムの中から、“宇宙からの訪問者”コーネリアスとジーラのことを記録したものを発見。シーザーはフィルムを再生し、ゴリラの起こした戦争をきっかけに地球が滅ぶことを知った。その時、資料庫に設置されていた監視カメラが動いた。シーザーたちは、地下で暮していた戦争の生き残りの人間たちに見張られていたのだ。
地下世界を支配する“知事”は、かつて栄えていた頃の都市の警察署長だったコルプだった。コルプは部下たちに命じて、シーザーたちの生け捕りを指示。だが、シーザーたちはコルプの追っ手をまき、自分たちの村に帰り着いた。まんまとシーザーたちに逃げられたコルプだったが、これが再び人間により地上を支配するチャンスだとを考えていた。コルプは偵察者を使ってシーザーの村の場所を突き止め、猿への侵略を計画した。
シーザーは猿と人間を集めて会議を開き、都市で得た調査の成果を報告した。シーザーは廃墟に人間の生存者がいることを明かし、彼らが侵略してきたときのために、村の人間たちに協力を求めた。だが、人間嫌いのゴリラのアルド将軍が猛反発し、会議をボイコット。その夜、アルドはゴリラだけの会議を開き、人間を皆殺す共に、健在の支配者であるシーザーも殺すことを相談。その密談は偶然通りかかったシーザーとリザの息子コーネリアスが聞いていた。アルドに見つかったコーネリアスは、木の枝の上に追い詰められた……。
<<スタッフ>>