あれから20年、人間は猿を奴隷化していた。
コーネリアスの息子が奴隷たちを導き反乱が起こす。
シリーズ第4弾。
猿の惑星
征服
CONQUEST OF THE PLANET OF THE APES
1972
アメリカ
88分
カラー
<<解説>>
ヒット・シリーズの第4弾。前作よりアクションシーンの多い作品となったが、『ナバロンの要塞』のJ・リー・トンプソンがスペクタクル感のある映像を作り出している。前作までシリーズのキー・パーソン(?)であるコーネリアスを演じていたロディ・マクドウォールが本作も登場。新たな主人公となる息子のシーザーを演じている。
前作から20年が経過した近未来社会が舞台。コーネリアスたちが予言した通りにペットとなる動物が滅び、人類は犬や猫の代わりに猿をペットとして飼っていたが、既に猿の奴隷化が始まっていた。サーカスで密かに育てられ成人になっていたコーネリアスの息子は、人間たちの横暴に怒り、他の猿たちと反乱を起していく――すなわち、“猿の惑星”の誕生の瞬間である。前作では人間側に主人公の支援者がいたが、本作では皆無。主人公の革命に向けての孤立奮闘と、猿と人間の憎しみのぶつかり合いが徹底して描かれていく。
猿をかつての黒人に見立てているところや、“シーザー”に演説をぶたせるところなど、アイデアで見せてきた前3作と較べると、SFとして捻りが足りないようだ。しかし、繰り返される歴史的悲劇に警鐘を鳴らしたような内容は風刺SFとしてはまったく正統であり、見応えは十分。前作では3頭しか登場しなかった猿人が、本作では全編を通して多数登場するところも見どころ。クライマックスの猿の反乱軍と警察の衝突は、『国民の創生』を思い起こさせる迫力だ。
<<ストーリー>>
1991年のアメリカのある都市。8年前、宇宙から持ち込まれたウイルスにより犬や猫が死に絶えた後、人間は猿をペットして飼い始めた。だが、人間の欲望は深く、次第に猿を召使や奴隷として働かせるようになっていった。この街にある猿管理局では、海外から輸入した猿に窓拭きや靴磨きなどを教え込んだ後、奴隷として出荷していた。
コーネリアスとジーラが死んだ後、彼らの息子はサーカス団のアルマンドによって育てられた。アルマンドは息子が言葉を話すことを隠し、地方ばかりを巡業してきたが、成人した彼を人間の手から逃がすため、あえてこの街に連れてきた。息子ははじめに立ち寄った本屋で、店主の助手として働く猿リザと出会った。
町の中で猿が警官たちにいじめられているのを見た息子は、たまらず「恥知らずの人間どもめ」と叫んでしまった。息子を庇ったアルマンドは警察に自ら警察に出頭。この街を支配するボレック知事や警察所長のコルプから厳しい尋問を受けることに。コルプにサーカスの猿がコーネリアスとジーラの子供であることを追及されても、アルマンドはそれを否定しつづけた。一方、息子は港から陸揚げされたオラウータンの積荷に混じって、猿管理局にやってきていた。
管理局での教育で優秀な成績を収めた息子は、すぐに奴隷として競売にかけられた。彼を高額で落札したのは、奇しくもボレック知事だった。ボレックは購入した奴隷にシーザーと名付けた。猿をけだもの視しするボレックはシーザーを酷使した。だが、黒人の一等補佐官マクドナルドは被差別の歴史を持つ立場からシーザーに同情的だった。
シーザーはボレックの下で働きはじめてすぐ、警察に拘束されていたアルマンドが死んだという報せを耳にした。厳しい尋問に追い詰められ、錯乱状態になったアルマンドは、自ら窓ガラスを突き破り、転落死したのだ。シーザーはアルマンドの死を悲しみ、人間への復讐を誓った。
シーザーは街で働く猿たちを密かに扇動した。奴隷としての立場に不満を持っていた猿たちは、シーザーの目論見通り人間にたちに反抗するようになっていった。猿の反乱は瞬く間に町じゅうに広まり、シーザーは彼ら指導者となった。シーザーは猿たちを使って刃物や銃などの武器を調達し、革命の時期を窺った……。
<<スタッフ>>