傲慢だった医師が自らが患者になったことで、
自分を見つめなおす姿を描く感動のヒューマンドラマ。

ドクター

THE DOCTOR

1991  アメリカ

122分  カラー



<<解説>>

『愛は静けさの中に』の監督ランダ・ヘインズと主演ウィリアム・ハートが再びおくる感動のドラマ。原作は、医師であるエド・ローゼンバームが実体験を基に書いたベストセラー小説化。前作は主人公の教師と聾唖者との関係を描いていたが、本作は医師と末期のガン患者の関係を中心に描いていく。
音楽をかけ冗談いいながらメスを握る外科医というのは、ちょっとやりすぎのような気もするが、ヒューマンドラマという看板に対して、あまり堅苦しくならないようにしているようだ。嫌味な主人公がはじめて患者になったことで、病院内で色々と不愉快な目にあうという前半はなかなか笑える。気楽にコメディを楽しんだ後、後半なって末期ガン患者が登場してからは一変。怒涛の感動ドラマが展開する。ジャックが医者としてではなく、患者として関わる患者は彼女一人だけしか登場してこないが、その存在感は“主人公を変える”だけの説得力がある。
主人公の医師が、自分が患者になることで、自らの傲慢さに気付き、医師として大切なことを学んでいくということが物語のひとつの展開として用意されている。しかし、もう一つ、主人公が成長していく過程の中で、患者が医師に対して自分のことしか考えないわがままな人間になってしまいがちなことを啓発し、患者だった人間にとっても身につまされるようになっているところがミソである。すなわち、二人の関係を通して伝えられるのは、医師の患者への思いやり止まらず、人と人との相互理解という大きなテーマなのである。



<<ストーリー>>

優秀な外科医のジャック・マッキーには、患者に対する接し方に確固とした考えがあった。すなわち、「患者はあくまで手術の対象で、同情するのは禁物」であり、インターンたちにもそう教えていた。
ある日、ジャックは、咳に血が混ざっていたことに気付き、内科で診察を受けることにした。喉に腫瘍があると言われ、さらに精密検査を受けることになったジャックは、待合室で長時間待たされたり、何度も書類を書かされたりしたことで、患者に対して思いやりのない病院の態度に疑問を持ちはじめた。
ジャックの腫瘍は悪性だった。ショックのあまりジャックは、親身になろうとする妻アンに辛くあたってしまった。そんな時、ジャックは病院の待合室で、脳腫瘍の患者、ジューンと出会った。ジャックは同じ癌患者として彼女を慰めるが、彼女は死を待つばかりの末期の患者だった。
ある日、ジャックは、ダンスの公演が見たいという言っていたジューンを、病院から連れ出した。ジューンとの短い旅を通し、患者を思いやりる気持ちが、医師としてのジャックの心に芽生え始めていた……。



<<キャスト>>

[ジャック・マッキー]
ウィリアム・ハート

[アン・マッキー]
クリスティーン・ラーチ

[ジューン]
エリザベス・パーキンス

[マーレイ・カプラン]
マンディ・パティンキン

[ブルムフィールド]
アダム・アーキン

[ニッキー]
チャーリー・コースモー

[レスリー・アボット]
ウェンディ・クルーソン

[ラルフ]
J・E・フリーマン

[アラン]
カイル・セコー

[マイケル]
ブライアン・マーキンソン

[ピート]
ケン・ラーナー

[カリー]
ミリー・スレイヴィン

[ローリー]
ナンシー・パーソンズ



<<スタッフ>>

[監督]
ランダ・ヘインズ

[製作]
ローラ・ジスキン

[製作総指揮]
エドワード・S・フェルドマン

[共同製作]
マイケル・S・グリック

[原作小説]
エド・ローゼンバーム

[脚本]
ロバート・キャスウェル

[撮影]
ジョン・シール

[音楽]
マイケル・コンヴァーティノ

[美術]
ケン・アダム

[編集]
ブルース・グリーン
リサ・フラックマン

[衣装デザイン]
ジョー・I・トンプキンス

[キャスティング]
リン・スタルマスター