殺人事件を目撃した売れないクラブ歌手が、
裁判開始当日まで匿われることになったのは修道院。
隊の指揮を命じられた彼女は、賛美歌を軽快なリズムにアレンジするが…。

天使にラブ・ソングを…

SISTER ACT

1992  アメリカ

100分  カラー



<<解説>>

『ゴースト ニューヨークの幻』で人気者になったウーピー・ゴールドバーグ主演のコメディ。娯楽の都リノで歌とセックスに生きていた主人公の歌手が、規律正しいカソリックの修道院で受けるカルチャーギャップと、そんな過酷な生活の中で聖歌隊の指揮者として自分の役目を見出していく様を描いていく。ウーピー出演作の中でも彼女のフランクな魅力が最も生かされた作品だが、彼女ひとりが突出するのではなく、脇を固める実力派の女優たちの的確な芝居が全体のバランスを保ち、安心して楽しめる定番作となった。出番は少ないが、悪役のギャングを演じたハーベイ・カイテルも笑わせてくれる。ストーリーはハリウッド・コメディの王道とも言えるものだが、作品をより個性的なものにしたは、ゴスペル風というかミュージカル風にアレンジされた聖歌隊の歌。ここだけはおふざけなしで本気で圧巻の歌を聴かせてくれる。ヒットを受けて続編も作られた。



<<ストーリー>>

リノのクラブ“ムーンライト”のステージで、作曲やアレンジも手がける歌手のデロリス・ヴァン・カルティエは、クラブのオーナーであるギャングのヴィンス・ラ・ロッカの情婦でもあった。デロリスはヴィンスに、奥さんと別れてくれるよう再三頼んでいたが、その気配はなく、彼はいつも話をそらすばかり。愛想をつかせたデロリスは、店を辞めることを決意し、ヴィンスから最後に贈られた奥さんのお下がりの毛皮を、彼に返しに行くことにした。
デロリスがヴィンスの部屋のドアを開けたその時、彼女は思いもかけない光景を目の当たりにすることに。それは、ヴィンスが部下のジョーイたちに命じて、サザー警部補と話していた運転集のアニーを撃ち殺す場面だった。何も見ていないフリをして部屋から引き換えすデロリスだったが、動揺は明らか。ヴィンスから明示されたジョーイたちに追いかけられることに。デロリスは命からがら、ヴィンスを長年追っているサザーのもとへ逃げ込んだ。
サザーはヴィンスを逮捕することにしたが、裁判がはじまるのは二ヶ月後も先のこと。サザーは、殺人事件の重要な証人であるデロリスをヴィンスから隠しとおすために、彼女をある場所に送り込んだ。その場所とは、ニューヨークの街のどまんなかにあるカソリック系の聖キャサリン修道院だった。
リノで快楽に生きてきたデロリスにとって、禁欲と規律に縛られた修道院は地獄に等しかったが、ヴィンスに見つかれば殺されるため、ここの世話になることを決意。修道院長スーペリアは、規律を乱す恐れのあるデロリスを置くことに消極的だった。だが、聖キャサリンが財政難だったため、警察からの多額の寄付を期待して、彼女を受け入れることにした。メアリー・クラレンスという名前を与えられたデロリスは、歌手であることは他の尼僧には秘密にされ、リノから来た尼僧を名乗ることになった。
街から遮断された修道院での質素で退屈な生活は、デロリスの思った以上に過酷なもので、数日後には早くもサザーに電話で助けを求めた。ヴィンスに情報が漏れるのを恐れたサザーは、デロリスの電話を一方的にきってしまった。「ここから出たい」と願うデロリスの気持ちも、心や優しい尼僧たちとかかわるうちに少しずつ変わっていった。
きっかけは、一際おとなしい尼僧のメアリー・ロバートが、朝寝坊の多いデロリスのため、目覚まし時計を貸してくれたことだった。ロバートから「時には発散も必要」とアドバイスを受けたデロリスは、さっそく、聖キャサリンの向かいにあるバーに飲みに出かけた。だが、デロリスが出て行くのを目撃していたロバートやルアリー・パトリックもついてきてしまった。
翌日、デロリスはスーペリアから叱られ、聖キャサリンから出て行くよう命じられた。だが、それは狙われる自分を心配してのことだと気付いたデロリスは、追い出さないで欲しいとスーペリアに懇願した。スーペリアは、ここに置く代わりとして、聖歌隊に加わることをデロリスに要求。デロリスは、ここの聖歌隊の歌がひどいことに知っていたが、しぶしぶ加わること。そして、デロリスは、成行きから聖歌隊の指揮者に任命されてしまった。ロバートもメンバーである聖歌隊は、簡単な和音も満足に出せない体たらくだったが、デロリスが歌い方を教えるうちにみるみる上達していった……。





<<スタッフ>>