第二次大戦の伝説的爆撃機“メンフィス・ベル”の最後の出撃と、
その乗組員である若き兵士たちの姿を描く戦争ドラマ。

メンフィス・ベル

MEMPHIS BELLE

1990  イギリス/日本/アメリカ

107分  カラー



<<解説>>

70〜80年代の戦争映画は、ひたすらにベトナム戦争の非難と反省に始終していたので、戦争の英雄を題材にした映画は、ひさかたぶりといってもよいかしれない。原作は、ウィリアム・ワイラーが44年に撮ったドキュメンタリー『メンフィス・ベル』。幾多の危険な任務を遂行した伝説的な爆撃機“メンフィス・ベル”の最後の出撃と、その機に乗り込んだ個性的な若者たち人間模様を描く。英雄物語である以上に、戦争に青春を捧げたを等身大の若者の姿を捉えた群像劇である。飛行機や兵器の描写がリアルで、戦闘シーンも迫力あるものに仕上がっている。また、人間描写にもリアルさが追及されていて、まさに、爆撃機に乗せられたらそうなるであろうというような若者たちの言動が見どころ。はじめは軽いノリだったのに、並んで飛んでいた機から兵士が落下したり、攻撃を受けた機が真っ二つになるのを見て、だんだんと顔色が悪くなり口数が少なくなっていく若者たちの様子から、彼らの焦りや恐怖心がひとひとと伝わってくる。好戦的との批判もありそうだが、戦場の雰囲気や息遣の描出に新たな試みで挑んだ戦争映画の佳作である。本作と雰囲気の似た特攻映画『君を忘れない』は、さながら、日本版『メンフィス・ベル』といったところだろう。



<<ストーリー>>

第二次大戦末期。二十四回もの任務を遂行してきたアメリカ軍のB−17爆撃機“メンフィス・ベル”に最後の出撃の時がやってきた。課せられた任務は、ドイツのブレーメンの工場への爆撃である。
“メンフィス・ベル”は、操縦士のデニス、副操縦士はルーク、無線士のダニーら、まだ二十歳前後の十人の若者を乗せ、イギリスの基地を飛び立った。彼らは、不安を吹き飛ばすかのように冗談を言い合いながら、爆撃地点を目指した。だが、その途中、ナチスの敵機が来襲し、編隊を組んでいた仲間の機が次々と犠牲になっていった……。



<<キャスト>>

[デニス]
マシュー・モディン

[ダニー]
エリック・ストルツ

[ルーク]
テイト・ドノヴァン

[フィル]
D・B・スウィーニー

[バル]
ビリー・ゼイン

[ラスカル]
ショーン・アスティン

[クレイ]
ハリー・コニック・ジュニア

[パージ]
リード・エドワード・ダイアモンド (リード・ダイアモンド)

[ユージン]
コートニー・ゲインズ

[ジャック]
ニール・ジュントーリ

[ハリマン大佐]
デイヴィッド・ストラザーン

[デリンジャー中佐]
ジョン・リスゴー

[ファイス]
ジェイン・ホロックス

[スタン・ザ・ロッキー]
スティーヴン・マッキントッシュ



<<スタッフ>>

[監督]
マイケル・ケイトン=ジョーンズ

[製作]
デイヴィッド・パットナム
キャサリン・ワイラー

[製作補]
エリック・ラットレイ

[脚本]
モンテ・メリック

[撮影]
デイヴィッド・ワトキン

[音楽]
ジョージ・フェントン

[編集]
ジム・クラーク

[美術]
スチュアート・クレイグ

[衣装デザイン]
ジェイン・ロビンソン

[キャスティング]
ジュリエット・テイラー
マリオン・ドーティ