夢を持って大企業に就職した秘書の女性が、
怪我をした上司にになりすまして大型契約を結ぼうとするが…。
サクセス・コメディ。
ワーキング・ガール
WORKING GIRL
1988
アメリカ
115分
カラー
<<解説>>
女性の社会進出に合わせた『摩天楼はバラ色に』の女性版といった趣のコメディである。大手証券会社の新人秘書メラニー・グリフィスが、上司である女部長シガニー・ウィーバーが怪我で会社を休んでいる間に、彼女に成り代わって大手契約という仕事を成し遂げようと画策。そこへハンサムな仕事の相棒で上司の恋人でもあるハリソン・フォードとの三角関係が絡んでくるという話。夜学で苦労し、やっとのことで入社したちょっとヤボったい主人公。セクハラに苦しみながら、手にした秘書の職。なのに、上司は自分より年下の女性でその上、ハイセンスな美人。企業で女性が働くことの現実を反映した脚本が良く出来ていて、『摩天楼はバラ色に』とやっていることは同じなのに、より現実感のある内容となっている。大味な演出は古臭さは否めないが、内容は今観ても十分に共感を呼ぶものである。そして、なにより、女同士の熾烈な駆け引きが面白く、グリフィスとウィーバーのそれぞれのイメージにあった熱演が見ものだ。カーリー・サイモンの主題歌はオスカーを受賞した名曲だが、日本ではテレビドラマ「ホテル」の主題歌としてのほうが有名だろう。
<<ストーリー>>
5年間夜学に通った後、ニューヨークの大手企業マーシュ証券に入社した女性テス・マクギルはもう30歳。出世を夢見る彼女だったが、学歴が重視されるのが現実で、証券マン養成コースから外されるのも時間の問題だった。そんな時、係長のラッツから「優秀なアシスタントを探している」と秘書の仕事を持ちかけられた。テスはラッツから紹介された国際資金部のボブ・スペックと会うが、やっぱり相手の目的はセックスだった。ボブを振って社に戻ったテスは、ラッツの悪口を電子掲示板に流した。そのめ、テスはコースから外され、配置換えされることに。
人事担当者はテスに同情し、転勤してくることになった部長の秘書の仕事を与えた。当日、テスが部署に向かうと、新しい上司として現われたのは、自分より年下の女性キャサリン・パーカーだった。戸惑うテスだったが、キャサリンは「二人はチームよ」と言って励ました。実際、キャサリンはテスの出したアイデアを熱心に聞いてくれる良い上司で、テスも仕事に張り合いを感じるのだった。
ある日、テスは雑誌の記事を何気なく眺めているうちに、トラスク産業がラジオ局を買収するのではないかと思いつく。通信関連の買収に関しては、テレビ局ばかりに目が行きがちだが、堅実なラジオ局も賢い買い物なのである。テスはすぐさまそのアイデアをキャサリンに報せた。だが、キャサリンはトラスク産業を調査した結果、テスのアイデアを却下したのだった。
キャサリンが恋人と一緒にスキー旅行に出かけることになった。相手が求婚するだろうと確信するキャサリンは、既に新婚旅行のためにスケジュールを空けていた。キャサリンはそんな自分をテスに見習わせ、「何事も積極的に」と助言したのだった。
キャサリンの留守の間、家の掃除を頼まれたテスは、スピーチの練習などを吹き込んだテープレコーダを見つけた。何気なくテープを聴いていたテスは、キャサリンがテスに内緒でラジオ局買収のアイデアをデューイ社のジャック・トレイナーという男に教えようとしていることを知った。テスはキャサリンによるアイデアの盗用に憤りながら帰宅。すると、同棲中の恋人ミックが女友達のドリーンとセックスの真っ最中だった。そんなショックな出来事の連続がテスを突き動かした。彼女はキャサリンの「何事も積極的に」という助言を思い出し、先手を打つことを決意した。
テスは部長を名乗り、ジャックと翌日に会う約束を取り付けた。また、念を入れて、事前に先方の人物を確かめることにした。その夜、同僚のシンシアの協力でドレスで観を固めたテスは、ジャックが出席するパーティにもぐりんだ。だが、ジャックは既に帰ってしまったようで、会うことは叶わなかった。代わりに名も肩書きも名乗らない男に言い寄られ、テスは一杯だけテキーラを付き合うことに。だが、強い酒と出掛けに飲んだ抗ヒスタミン剤のせいで、テスは深い眠りに落ちてしまった。男は仕方なく、テスを担いで自宅に運んでいったのだった。
翌朝、目が覚めたテスは、男とベッドで寝ていたことに驚き、男が目覚めないうちに彼の部屋を後にした。気を取り直し、デューイ社に訪ねたテスは、ジャックと会った時に再び驚くことに。そこにいたのは、今朝まで一緒にベッドで寝ていた男だったからだ。おかげで、テスはビジネスの話がしどろもどろになってしまった。社に戻ったテスは、今朝の失態を踏まえても、契約が失敗したことを確信。落ち込んでいたテスだったが、突然、ジャックが訪ねてきて、新品のカバンをプレゼントされた。それは、仕事のパートナーとなることの証し。ジャックはラジオ局買収の話に乗ってくれたのだ。
その夜は親友の婚約パーティで、テスはミックと会うことになった。パーティが盛り上がっていた時、ミックが突然のプロボーズ。予想外のことに戸惑ったテスは、「考えさせて」と答えた。帰り道、恥をかかされたミックは怒り、自分のことばかり考えているテスを激しく非難したのだった。翌日、出社すれば、シンシアも最近のテスのことを心配していた。彼女は、ジャックに入れ揚げていることは失恋で終わるだろうし、上司をかたるという危険な綱渡りもバレたちクビになるだろう、とテスに警告した……。
<<スタッフ>>