中世のヨーロッパを舞台に
騎士と竜が暴君に戦いを挑む姿を描くアドベンチャー・ファンタジー。
ドラゴンハート
DRAGONHEART
1996
アメリカ
103分
カラー
<<解説>>
テレビ畑のロブ・コーエンと、イタリアの名プロデューサ、ディノ・デ・ラウレンティスの息子ラファエラのコンビが、『ドラゴン ブルース・リー物語』に続いて撮った作品。“ドラゴン”ネタが続くことになったが、今回は李小龍ではなく、伝説の生き物であるころの竜の方。物語の舞台は、人間と竜が共存すると言われても違和感のない10世紀のヨーロッパであり、騎士と竜の出会いと友情、そして、農民たちと共に悪政に挑んでいく姿を、SFXを駆使して描く。SFX担当は、『キャスパー』で生身の役者とCGIのキャラクターの合成を成功させたILM。
本作の最大の呼び物は、CGで精巧に表現されるドラゴンである。映画の中でのCGが使われる目的は、大きく二つに分けられ、そのひとつは、何らかの理由で撮影し難い現実的な対象を表現するということ。もうひとつは、従来のSFXの代替として非現実的なものを表現することである。当時の『キャスパー』や本作は後者の代表格であり、近年、ハリウッドでセルアニメを絶滅に追い込んだフルCGアニメへの礎になったと言ってもいいかもしれない。CGの竜は、長年培ったセルアニメの技法が生かされているようで、なかなかの名演技と実在感。ひとつのパーソナリティを持った存在として、力強く物語を牽引している。
吹き替えで観る場合はあまり関係ないが、竜の声をショーン・コネリーが演っていたことも話題になった。コネリーは『トゥルーナイト』でアーサー王を演じたばかりだが、本作もアーサー王伝説の外伝的な物語になっている。竜(コネリー)にアーサーの墓所であるアヴァロンを訪ねさせるところがマニアックな演出だ。アーサー王伝説が下敷きとしてあるせいか、CG抜きにしても、騎士物語として格式の感じられる作品に仕上がっている。自由を求めて農民の反乱を起こす展開や、ラストの自己犠牲などの教訓的な内容も、正統派のアドベンチャーとして見応えがある。
<<ストーリー>>
中世のヨーロッパのある王国。フライン王の横暴に怒った農民たちの反乱により、まだ若い王子アイノンが瀕死の重傷を負った。アイノンはドラゴンから心臓を半分を授かり一命を取りとめたが、その後、王となった彼はフライン以上のとんでもない暴君になってしまった。
あれから十二年後、かつて、アイノンの剣術の指南役だった騎士ボーウェンは、アイノンを変えたドラゴンへの恨みから、ドラゴン狩りで生計を立てていた。
ある日、ボーウェンは人間の言葉をしゃべるドラゴンとであった。それが、この世界に残されたドラゴンの最後の一頭だった。戦いの末に相打ちとなったボーウェンとドラゴンは、お互いが生きるために和解をした。
ドラゴンは夜空の星座にちなんでドレイコと名づけられた。ボーウェンとドレイコは商売の上で手を組んだ。村を襲う振りをするドレイコを、ボーウェンが退治する振りをするという芝居で農民をだまして、ドラゴン退治代を稼ぐようになった……。
<<キャスト>>
[ボーウェン]
デニス・クエイド
[アイノン王]
デイヴィッド・シューリス
[ギルバート]
ピート・ポスルスウェイト
[カーラ]
ディナ・メイヤー
[フェルトン卿]
ジェイソン・アイザックス
[ブローク]
ブライアン・トンプソン
[レッドビアード]
テリー・オニール
[アイリン王女]
ジュリー・クリスティ
<<声の出演>>
[ドレイコ]
ショーン・コネリー
<<スタッフ>>
[監督]
ロブ・コーエン
[製作]
ラファエラ・デ・ラウレンティス
[製作総指揮]
デヴィッド・ロットマン
パトリック・リード・ジョンソン
[原案]
パトリック・リード・ジョンソン
チャールズ・エドワード・ポーグ
[脚本]
チャールズ・エドワード・ポーグ
[撮影]
デイヴィッド・エグビー
[音楽]
ランディ・エデルマン
[美術]
ベンジャミン・フェルナンデス
[編集]
ピーター・アマンドソン
[メーキャップ監修]
ジャンネット・デ・ロッシ
[ヘアメイク]
ミレラ・デ・ロッシ
[竜デザイン]
フィル・ティペット
[視覚効果監修]
スコット・スキヤーズ
[特殊効果監修]
キット・ウェスト
[特殊効果]
インダストリアル・ライト・アンド・マジック