大阪ミナミの支配権をめぐって勃発した暴力団抗争。
巻き込まれた極道の妻たちの姿を描くドラマ。
シリーズ第7作。
新 極道の妻たち
惚れたら地獄
1994
日本
106分
カラー
<<解説>>
岩下志麻の大げさな極妻っぷりが楽しかった前作『覚悟しいや』から一変。7作目となる本作は比較的硬派な作品となった。岩下志麻の人間離れした極妻は控えめなので、笑う準備していると裏切られるかもしれない。その代わり、極道の妻としての悲しい宿命に苦悩する女たちの姿を描いていて、原点回帰とも言える重厚な人間ドラマに仕上がっている。
今でこそ文芸物のイメージの強い降旗監督だが、70年代は任侠映画で凌ぎをけずっていたのである。前半の抗争の場面は、任侠物で培れた荒々しい演出が冴え、非常にスリリング。そして、組がつぶれて落ちていく場面は、監督の右腕・木村大作の美しい映像で綴られ、破滅の美学を心置きなく堪能できる。まるで、『ゴッドファーザー』を観ているような充実感だ。ラストの極妻ひとりでの殴りこみは、シリーズのお約束でもあるが、今回は本当に恰好良くきまっている。はっきり言って内容はいつものパターンだが、監督が変わり演出が変われば作品の質が変わるという好例となった。
<<ストーリー>>
大阪ミナミの極道・御蔵組。病床に伏していた組長の村木が復帰した。村木は、ミナミの再開発の利権の獲得のかかった寄り合いを前に意欲を燃やしていたが、対立するキタの極道・侠和会の刺客により暗殺されてしまった。
その後、御蔵組の組員・森安が侠和会の組員を殺害する事件が起こった。大事な寄り合いを前に抗争が起こることを恐れた村木の妻・芙由(ふゆ)は、指をつめて侠和会に詫びた。だが、侠和会は芙由の殺害に動き出していた。
芙由は、御蔵組の幹部・新谷清二の妻・斎子と一緒に身を隠し、部下たちに下手に動かないよう命令した。だが、幹部の権藤啓太は芙由の命令を無視して、侠和会に対して戦争を仕掛けてしまった……。
<<キャスト>>
[村木芙由]
岩下志麻
[新谷清二]
山下真司
[輪島武司]
清水宏次朗
[新谷斎子]
斉藤慶子
[森安健]
赤坂晃
[野田哲男]
小西博之
[坂本英子]
あいはら友子
[鶴子]
西川峰子
[輪島美貴]
海野圭子
[野田志津江]
中野みゆき
[坂本重秋]
中条きよし
[別荘のオーナー]
美川憲一
[女美剣士]
宮崎ますみ
[権藤加奈代]
川島なお美
[村木俊作]
高島忠夫
[権藤啓太]
世良公則
<<スタッフ>>
[監督]
降旗康男
[企画]
日下部五朗
[プロデューサー]
本多達男
小柳憲子
[企画協力]
井波洋
(ヒロプロダクション)
[脚本]
松田寛夫
[原作]
家田荘子
[撮影]
木村大作
[音楽]
服部克久
[主題歌]
加藤登紀子
「残照」
[美術]
松宮敏之
[装置]
梶谷信男
[装飾]
極並浩史
[背景]
西村三郎
[録音]
芝氏章
[照明]
安藤清人
[編集]
荒木健夫
[記録]
森村幸子
[衣裳]
宮川信男
[スチール]
遠藤功成
[キャスティング]
葛原隆康
<<プロダクション>>
[製作]
東映