西部開拓時代の実在の英雄トム・ホーンの晩年を描くドラマ。

トム・ホーン

TOM HORN

1980  アメリカ

98分  カラー



<<解説>>

マックィーンが実在したガンマン、トム・ホーンに扮し、英雄の実像に迫った西部劇。過ぎ去りし日の英雄が移ろう時代の中で自由な生き方を求め続ける様を、哀愁あるタッチで描いていく。活劇よりも人間ドラマに偏っており、マックィーンが演じるのもいつものヒーローではない。かつては英雄として祭り上げられていたが、今やくたびれた孤独な中年男という風体である。マックィーンがあえて衰えをさらけ出したのか、それとも、衰えた男を演じきったのか。いずれにしても、マックィーン本人とトム・ホーンの姿が重なる芝居を見せる。用心棒として雇われた主人公が悪党を懲らしめるという活躍もあるが、不本意な殺人を侵してしまうあたりは、観ていてスカっとするようなものではない。それよりも、英雄というレッテルから逃れようともがく悲運な男の姿がせつなく胸に迫る作品だ。自分を断罪した人々に対しても何のこだわりも持たず、毅然として構える主人公の姿に男泣き。マックィーンがスターとしての生涯に自ら幕を引いたかのような本作は、ジョン・ウェインが自ら遺作として選んだ『ラスト・シューティスト』と通ずるものがある。



<<ストーリー>>

西部に平和が訪れていた1903年。過去にジェロニモを逮捕したことで英雄となったトム・ホーンというガンマンがいた。ホーンはワイオミングのある町で、酒場の喧嘩に巻き込まれて打ちのめされているところを、牧場主のジョン・コブルに発見された。
ホーンはコブルの頼みで、牛泥棒対策のために町に招かれることになった。ホーンは不届きな犯人ブラウンズ・ホールの一味をひとりまたひとりと倒していった。再び英雄として注目を集めたホーンだったが、ある日、親友とも呼べる大事な馬を殺されたことで激怒し、町の中で人を殺めてしまった……。



<<キャスト>>

[トム・ホーン]
スティーヴ・マックィーン

[グレンドレーネ・キンメル]
リンダ・エヴァンス

[ジョン・コブル]
リチャード・ファーンズワース

[ジョー・ベル連邦保安官]
ビリー・グリーン・ブッシュ

[サム・クリードモア保安官]
スリム・ピケンズ

[スタブルハンド]
エリシャ・クック

[リー・メンデンホー]
ロイ・ジェンソン

[ウォルター・ストール]
ジェフリー・ルイス

[ジム・コーベット]
スティーヴ・オリバー

[オラ・ヘイリー]
ビル・サーマン

[ブラウンズ・ホール一味]
ミッキー・ジョーンズ

[コーベットの護衛]
メル・ノヴァク

[オラ・ヘイリーの護衛]
パット・ジョンソン

[アイザム]
ウォルター・ワイアット

[ガンマン]
ジミー・H・バーク



<<スタッフ>>

[監督]
ウィリアム・ウィヤード

[製作]
フレッド・ワイントローブ

[製作総指揮]
スティーヴ・マックィーン

[製作補]
マイケル・ラックミル
サンドラ・ワイントローブ

[原作]
トム・ホーン

[脚本]
トーマス・マクゲイン
バッド・シュレイク

[撮影]
ジョン・A・アロンゾ

[音楽]
アーネスト・ゴールド

[装飾]
ロン・ホッブス

[編集]
ジョージ・グレンヴィル

[衣装デザイン]
ラスター・ベイレス