<<ストーリー>>
アトランタで刑期を終えた服役囚マックス・ケイディが出所した。全身に警句を刺青したその男は、ある目的のためにニューエセックスにやってきた。
弁護士のサム・ボーデンは、デザイナーの妻レイと十五歳になる娘ダニーと平穏に暮していた。ある日、家族そろって映画を観に行いったサムは、前の席に周囲の迷惑も考えずに葉巻を吸いながら大笑いしている男を見つけた。サムはまだその男が自分の因果のある男ケイディであることには気付いていなかった。
サムは法律事務所の同僚のローリーと密かに不倫をしていた。ローリーと一緒にスポーツクラブで汗を流した帰り、サムは駐車場で先日の映画館の男の待ち伏せ受けた。ケイディはサムが自分のことを覚えていないことを知ると正体を明かした。ケイディはレイプで暴行の罪で訴えられた時にサムを弁護につけたが、裁判で負け、十四年も服役することになったのだった。ケイディはサムとの別れる際に「無くしたものは戻らない」と呟いた。サムはケイディのその言葉がいつまでも心にひっかかった。
その夜、何気なく寝室から庭を見渡したレイは、塀の上に腰掛けるケイディらしき男の影を発見した。レイに起こされたサムは、ケイディを追い出そうと庭に飛び出すが、既に男の姿はなかった。
数日後、サムは町中でケイディと出くわした。サムはケイディが付きまとっていると断定し、彼を激しく非難した。それでも惚け続けるケイディに痺れを切らしたサムは、金で解決しようと考え、金額の交渉に出た。だが、その時、高級車に乗っていたケイディは金に困っている様子はなく、サムの提示した金額についても、十四年の賠償に見合わないことを理由に苦笑するだけだった。
事務所で仕事をしていたサムのもとに、自宅のレイからの緊急の電話がかかってきた。愛犬のベンが何者かに毒殺されたのだ。ケイディの仕業だと考えたサムは警察に行き、エルガート警部補に相談した。エルガートの調査により、ケイディが多額の遺産を相続していることが分かった。金が欲しいのではないとしたら、いったい何が目的なのか?
そんな時、レイプ事件が発生した。容疑者はケイディだった。早速、サムは被害者の病室を訪ねるが、ベッドに痛々しい姿で横たわっていたのはローリーだった。サムはローリーに、ケイディを追い詰めるためにすべてを話しくれるよう頼んだ。だが、これてまで仕事でケイプ事件を何件も扱ってきたローリーは、同僚の前で恥を晒すことになるのを怖れていた。エルガートは、起こっていない事件については警察が動く出来ないことを説明した上で、オトリを立てる方法もあることをサムに仄めかした。
今回のような曖昧なケースについては警察が役に立たないことを知ったサムは、友人の探偵カーセクにケイディの備考を依頼した。ローリーはケディを訴えずに町を離れることになった。サムは寝室から電話でローリーに別れを告げるが、それをレイに見つかってしまった。既にローリーの存在に勘付いていたレイはサムをなじった。家族の周りをうろつく男の存在に加え、両親の喧嘩を目の当たりにしてしまったダニーは、不安と孤独を募らせていった。
カーセクはケイディの尾行を続けていたが、相手に気付かれてしまった。ケイディが一筋縄でいかない男であることを身をもって知ったカーセクは、男たちを雇って痛めつけることをサムに提案。だが、サムは弁護士という立場として、カーセクの提案には乗れなかった。
ある日、ダニーの学校の教師を名乗る男から、明日の演劇の授業について電話がかかってきた。ダニーは、自分の悩みに理解を示してくれる教師の話に引き込まれていくが、その正体はケイディだった。
翌日、指定された教室にダニーが行くと、そこにはケイディが一人で待っていた。獄中で本を読みふけっていたケイディは、その博学でダニーの心の隙間に入り込んでいっだ……。
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