何者かに命を狙われた美人弁護士と
彼女の警護を担当した刑事の逃避行を描くサスペンス・アクション。


フェア・ゲーム

FAIR GAME

1995  アメリカ

91分  カラー



<<解説>>

90年代のアクション映画界を席巻した大物プロデューサー、ジョエル・シルヴァーによるノンストップ・サスペンス・アクション。既に、スタローン主演にの『コブラ』として映画化済みだったポーラ・ゴズリング作のミステリー小説「逃げるアヒル」の再映画化。スーパーモデルのシンディ・クロフォードの映画デビュー作としても話題となった。『コブラ』ほどではないが、原作から大幅にアレンジされているため、『コブラ』と本作は、命を狙われてるいる女性の市民とそれを警護する男性の警官が凶悪な敵から手を取り合って逃げるもという以外は、共通点が見出せない作品となっている。
二作品の決定的な違いの一つとして、『コブラ』が物語の後半からロマンス寄りだったのに対して、本作は主人公とヒロインの関係の描き方があっさりことがある。それは、クロフォードにロマンスを演じられるだけの役者の経験がなかったためなのかもしれない。いずれにしても、ロマンスに時間を割かなかった分、主人公とヒロインの追跡劇や、ヒロインの救出劇に重点に置かれることになり、その結果、映画のテンポが比較的上がることになった。別の相違点として、主人公の警官のキャラクターの違いがある。スタローンとウィリアム・ボールドウィンという名だけで、本編を観なくても想像がつくかと思われるが、本作の主人公はなんだか頼りなさげである。やはり、ヒロインとの釣り合いをとるための配役だろうか。しかし、中盤まではヒロインに振り回されている感があった主人も、クライマックスでは意外な活躍で楽しませてくれる。また、原作の舞台はサンフランシスコ、『コブラ』の舞台はロサンゼルスで、どちらもカリフォルニア州だったが、本作は陽光照りつけるフロリダ州マイアミへ舞台が移されている。マイアミが舞台となっているのは、ヒロインを狙う組織の設定上のこととも思えるが、クロフォードに常に薄着をさせるための口実もあるかと思われる。
公開当時はクロフォードの出演という話題性だけが先行していた向きがあったが、さすがはシルヴァーが手がけているだけあり、アクションの連続で見せる快作に仕上がっている。中盤の凄まじいカーチェイスは、アクション映画ファン必見だ。アクションに加え、もう一つの見どころとなっているのは、敵の組織が主人公たちを追い詰めるために使用するハイテクの描写。コンピュータを巧みに利用して、目標を追い詰めていく様がスリリングに描かれている。後の『エネミー・オブ・アメリカ』に先駆けた斬新な演出となった。その一例として、主人公とヒロインが列車の中で結ばれた時に、抱き合っている二人の姿がサーモグラフィで敵に丸見えになるというシーンがある。主人公たちがあまりにもウカツ過ぎてちょっと笑ってしまうシーンでもあるが、ハイテクが使い方によってはプライバシーを蹂躙する危険性を含むことを印象付けるという意味では、象徴的なシーンとなった。



<<ストーリー>>

民事訴訟を専門に取り扱う美人弁護士のケイトが、何者かに狙撃されたと警察に訴えてきた。事件の対応にあたった刑事のマックスは、ケイトの警護を行なうため彼女の家に。形だけの身辺警護のつもりだったが、ケイトの家が爆発。彼女は本当に命を狙われていたのだ。マックスはケイトと一緒に見えない敵から隠れるが、二人の行動はハイテクを駆使した敵の情報網によりすべて筒抜けになっていた。
マックスがケイトと逃げ隠れしている間に、彼の相棒が殺された。ケイトを狙う連中の仕業だった。マックスは、相棒の殺害された場所に残された銃弾を、従姉妹のジュディと検め、敵がKGB系の組織であることを知った。
マックスとケイトは、二人を追ってきた組織から、危険なカーチェイスの末に逃げ延びた。ところが、ケイトは突然、マックスから離れ、走ってきた貨物列車に飛び乗った。マックスはケイトを追って列車に乗り、誤解を解いた二人は結ばれた。だが、その間にも組織の追及の手が二人に伸びていた……。



<<キャスト>>

[マックス・カークパトリック]
ウィリアム・ボールドウィン

[ケイト・マックィーン]
シンディ・クロフォード

[イリヤ・カザク]
スティーヴン・バーコフ

[メイヤーソン]
クリストファー・マクドナルド

[エミリオ・ファントレナ]
ミゲル・サンドヴァル

[ジョディ・カークパトリック]
ヨハン・カルロ

[リタ]
サルマ・ハエック

[ルイス・アラゴン]
ジョン・ベッドフォード・ロイド

[ジューコフ]
オレク・クルパ

[ローザ]
ジャネット・ゴールドスタイン

[案内人]
マーク・マコーレイ

[ベイカー]
ソニー・カール・デイヴィス

[グレイベラ]
フランク・メドラーノ



<<スタッフ>>

[監督]
アンドリュー・サイプス

[製作]
ジョエル・シルヴァー

[製作総指揮]
トーマス・M・ハメル

[原作小説]
ポーラ・ゴズリング 「逃げるアヒル」

[脚本]
チャーリー・フレッチャー

[撮影]
リチャード・ボーウェン

[音楽]
マーク・マンシーナ

[美術]
ジェイムズ・スペンサー

[編集]
デイヴィッド・フィンファー
クリスチャン・ワグナー
スティーヴン・ケンパー

[キャスティング]
ジャッキー・バーチ