世話になった刑事部長が撃たれたと知り、再びビバリーヒルズに飛んだアクセル刑事。
現地の仲間と協力し、連続現金強奪事件の謎に挑む。

ビバリーヒルズ・コップ2

BEVERLY HILLS Cop II

1987  アメリカ

100分  カラー



<<解説>>

高級住宅地として知られるビバリーヒルズを舞台に、デトロイトからやってきたいかにも場違いな黒人刑事が活躍するという痛快ポリ・アクションのシリーズ第2弾。前作ではスタローンの代役としての主演という悪条件ながらも、エディ・マーフィは自らの魅力をアピールした。今回は、自ら製作と原案にかかわっていて、主人公アクセル刑事のキャラクターもエディの芸に合わせて軽薄になっている。口の上手さというより、ほとんど押しの強さと声のデカさだけで無理矢理に捜査を進め、家宅侵入、偽証、脅迫など、違法行為も上等という滅茶苦茶さ。前作ではお行儀の良かったビバリーヒルズ警察の仲間の二人も、今回はアクセルの捜査に積極的に協力。相変わらずマヌケな二人だが、ローズウッドの性格の変わり様が笑いどころになっている。
エディによるエディのための作品であるため、コメディ・スターとしての彼の本領が発揮された作品に仕上がっている。デトロイトでは高級スーツなのに、ビバリーヒルズではトレードマークのラフなジャンパーというアベコベ具合は演出上面白いが、後は、作品がエディの芸を見せる場と化している。エディがマシンガン・トークを披露するためだけに、ストーリー的に冗長なシーンが増え、また、ブリジット・ニールセン、ユルゲン・プロフノウといったインパクト重視の悪役をそろえながら、ほんどんエディの独壇場になっているも可笑しい。従って、エディの芸が好きな人には最高に楽しめるが、そうでないない人にはあまりおすすめできない作品だ。それでも、『トップガン』のトニー・スコットのキレのある演出と派手なアクションが良好で、前作に続いて大ヒットした。ただ、結果的に良くも悪くも「リーサル・ウェポン」シリーズと同じ轍を踏むことになり、回を重ねる毎にノリが良くなる一方でテーマが薄れていった。



<<ストーリー>>

カリフォルニア州ビバリーヒルズのエイドリアノ宝石店に、白昼、武装した集団が乱入。リーダの大女が秒読みを開始すると、武装集団はたった三分の間に手際よく宝石をかき集めて逃走していった。犯行現場には“A”と書かれた封筒が残され、中には暗号と思われる数字の列の書かれた紙が入っていた。
その頃、ミシガン州デトロイトでは、お調子者の黒人刑事アクセル・フォーリーがブランドもので身をつつみ、フェラーリを乗り回していた。彼がそんな贅沢をしているのも、大規模な偽カード事件のオトリ捜査のため。だが、経費ばかりを食って成果が上がらないため、上司のトッド刑事部長から睨まれていた。
再びビバリーヒルズ。以前、アクセルが麻薬事件の捜査で世話になったボゴミル刑事部長は、部下のローズウッドとタガートと武装強盗事件の捜査をしていた。ローズウッドは例の暗号の調査をFBIの友人に頼んでいたが、それをラッツ署長に知られることに。市長のイーガンに気に入られるため、署内だけで事件を解決したラッツは、ボゴミルに定職処分を、ローズウッドとタガートに交通課への転属を言い渡した。納得のいかないまま署を出たボゴミルは、車で後をつけてきた大女に銃撃された。大女は、ボゴミルに“B”と書かれた封筒を渡し姿を消した。
アクセルはテレビで“ABC事件”と名付けられた一連の事件の報道を見て、ボゴミルが重態に陥っていることを知った。すぐにでもビバリーヒルズに駆けつけたかったが、まだ偽カード事件が片付いていないため、デトロイトを離れることができない。そこでアクセルは、同僚のジェフリーにしばらく自分の振りをするよう頼み、トッドには捜査のため深く潜航すると告げた。こうして、3日間の猶予を得たアクセルはビバリーヒルズに飛んだ。
現地に到着したアクセルは、ヒル・クレストで改装中の豪邸を見つけると、現場監督を騙して作業員を全員追い出だした。こうして、こちらでの活動の拠点を手に入れた。続いて、アクセルはビバリーヒルズ警察でローズウッドとタガートと合流。捜査の経過を聞くと共に、宝石店に残されてた証拠の薬莢を検めた。それは、44オートマグという一般には使用の禁止されている弾だった。ラッツに睨まれたアクセルだったが、事件を感じとってやって来た超能力者の振りをして誤魔化し、ローズウッドと事件の捜査を開始した。
まず、アクセル、ローズウッド、タガートの三人は、銃について詳しいラスという専門家に薬莢を見てもらうため、射撃クラブに向かった。実は、その射撃クラブの副支配人のカーラは、例の武装強盗のリーダーだったが、アクセルたちはまだそのことに気付かなかった。射撃クラブの様子をモニターで監視していたカーラのボスのマックス・デントは、仲間のケインの注文した銃弾のせいで、刑事にかぎつけられたことに気付いた。デントは即急に計画CとDを実行に移すこと、ソモポラスという人物に1000ドルを渡すこと、そして、アクセルを殺すことをケインに命じた。
続いて、アクセルはABC事件に関する情報を求めてボゴミルの部屋を調べた。そして、ボゴミルが石油価格の暴落や“385ノース”というクラブに関心を寄せていたことを知った。アクセルは、保険会社に務めているボゴミルの娘ジャンに、石油会社を経営するマックス・デントについて調べるよう頼んだ。また、アクセルは、ボゴミルの靴の底に付着していた泥についても着目した。
アクセルはヒル・クレストの豪邸にローズウッドとタガートを呼びつけると、二人を着替えさせ、その夜、一緒に385ノース・クラブに出かけた。そのクラブのオーナーであるソモポラスという人物だったが、タガートたちに聞けば、その人物は武器の密輸業者だという。クラブを出たアクセルたちは、店の前に停車していた怪しい車から突然、銃撃を受けた。アクセルたちに追われた敵の車は事故を起こして横転。乗っていた男も姿を消してしまった……。



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