<<ストーリー>>

ニューヨークに住むダニー・マディガンは、学校をサボって劇場に入り浸るほどの映画好きの少年。その日も、行きつけの古い映画館で、もう6回目の観賞となるシュワルツェネッガー主演のアクション映画「ジャック・スレーター3」に夢中になっていた。映画の上映が終わると、顔見知りの映写技師のニックが、ジャック・スレーター・シリーズの新作のプリント・チェックにダニーを誘った。
その夜、ダニーが映画館に行くと、ニックがいつもは着ない制服を着けていて、もったいぶって一枚の金色に輝くチケットを取り出した。実は、ニックはマジシャンになるという夢を持っていて、このチケットは、彼が子供の頃に憧れの大マジシャン・フーディーニにもらった魔法のチケットなのだという。だが、ニックはそのチケットを試す勇気がなく、今夜、ダニーに譲ったのだった。ニックは魔法のチケットをやぶり、半券をダニーに渡してから「ジャック・スレーター4」のファルムを回した。
映画のはじめのシーンは、主人公ジャックのいとこのフランクが、シシリー・マフィアのビバルディに拷問を加えられているところである。ビバルディは自分の手下である赤い義眼の天才スナイパーのベネディクトがいかに凄腕かを強調し、フランクを脅かした。だが、ビバルディの本当の目的は、フランクに何かを白状させることではなく、自分とトレリーが手を結ぶという偽の情報を信じ込ませることあった。
シーンが変わり、フランクの家をシュワルツェネッガー演じるジャックが訪ねて来た。ジャックが家の中で見たものは、椅子に縛られ虫の息となっているフランクだった。フランクはビバルディとトレリーが手を結ぼうとしているとこをジャックに報せると、息絶えてしまった。そして、その直後、ビバルディの仕掛けていた爆弾が爆発し、フランクの家は木っ端微塵に。ジャックは奇跡的にかすり傷で済んだが、ビバルディの手下たちが追われることに。ジャックは車に飛び乗り、ビバルディの手下たちとカーチェイスを繰り広げるのだった。
と、その時、驚くべきことが起こった。ビバルディの手下の投げたダイナマイトが、なんと、スクリーンの前で映画を楽しんでいたダニーの方に飛んできたのだ。ダニーが呆気にとられているうちに、ダイナマイトは炸裂した。気がつくと、ダニーは映画の中のジャックの車の後部座席にいた。魔法のチケットの力は本物だったのだ。ジャックは突然、現われた見知らぬ少年に驚くが、とりあえず、悪党ども片付けることに。ビバルディの手下たちとのチキンレースに勝利したジャックは、ダニーを連れてロサンゼルス市警に戻った。
ダニーはようやく落ち着いて目の当たりにした映画の世界に目を丸くした。ジャックの同僚のプラクティスが『アマデウス』でモーツァルトを殺したやつだったり、アニメの猫が警官をやっていたりするのである。だが、そんなことには、この映画の登場人物であるジャックには当たり前で、ダニーが大騒ぎしていることの方が不思議に思えるのだった。ジャックとその上司のデッカー警部補は、素性不明のダニーに事情聴取を行なった。この映画の冒頭でビバルディたちの悪巧みを見ていたダニーは、そのことをジャックたちに説明。さらに、ジャックとデッカー二人だけの秘密まで暴露してしまった。デッカーは、なぜか事件の事情に詳しいダニーを信頼し、彼をジャックの新しいパートナーに任命したのだった。
そっそく、ダニーは冒頭のシーンの記憶を頼りに、ジャックをビバルディの邸へ案内した。ベルを鳴らすと、応対に出てきたのは、例のスナイパー、ベネディクトだったが、義眼がスマイル・マークに変わっていた。結局、何の手がかりも得られないままビバルディの邸を後にすることに。ダニーはジッャクにベネディクトの義眼が赤かったことを教えるが、二人の会話はベネディクに盗み聞きされていた。ベネディクは、自分とビバルディのことを何でも知っているダニーが何者なのか気になった。
その夜、ジャックはダニーを連れて、別れた妻の家を訪ねた。二人を迎えたのは先妻ではななく、新人女優メレディス・カプリスが演じる娘のホイットニーだった。ホイットニーはダニーを別の少年と間違えて突然、キスをした。密かにメレディスに憧れていたダニーは照れてしまうのだった。ジャックが葉巻を探して戸棚の引出しを開けると、そこには彼とその息子アンドリューの写った写真があった。ジャックは慌てて引出しを閉めた。「ジャック・スレーター3」のクライマックスで敵役のリッパーを追い詰めていたが、彼が倒される時に息子のアンドリューを道連れにされていたのだ。
ジャックが葉巻を買いに出かけている間に、ベネディクトが手下を連れて家に押しかけてきた。ダニーは、ベネディクトになぜ自分たちのことに詳しいのか尋ねられ、苦しい言い訳をしていたが、この窮地を乗り切る名案を思いついた。ジャックが以前、扱った事件の証拠品である偽札をベネディクトが手下に燃やさせるように仕向け、そこから立ち上る赤い煙でジャックに助けを求めたのだ。赤い煙を見たジャックは急いで家に戻り、ホイットニーと力を合わせてベネディクトたちを撃退。さらにジャックは、逃げ出したベネディクトたちを、アクロバティックな身のこなしで屋根伝いに追って行った。ダニーも、映画の見せ場を見逃してはなるものかと、自転車でジャックを追ったが、結局、ベネディクトに逃げられ、魔法のチケットも持っていかれてしまったのだった。
翌日、出勤したジャックはプラクティスからトレリー・ファミリーの一員である屁こきのレオの葬式があることを教えられた。だが、レオが死んだことにはひっかかることがあった。レオはトレリーの盾になってベネディクトに撃たれたという。あの天才スナイパーがトレリーから弾をはずはずはないから、わざとレオを殺したということになるだろう。ビバルディは死んだレオの腹に神経ガスを埋め込み、トレリー・ファミリーの集まる葬式を吹っ飛ばそうとしているのだ。そうなれば、ビバルディの天下になるというわけだ。そう推理したジャックはダニーを連れてロングビーチの葬儀会場に向かった……。



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