ニューヨークでゲイの恋人暮す台湾出身の青年。
故郷から両親が訪ねてきたため、青年は偽装結婚を計画するが……。

ウェディング・バンケット

喜宴
THE WEDDING BANQUET

1996  台湾/アメリカ

106分  カラー



<<解説>>

『推手』のアン・リーが、前作と同じく人種の坩堝ニューヨークを舞台に、そこで暮す台湾人を主人公にした家族のドラマ。『推手』に続く父親三部作の第三編で、前作のラン・シャンが再び父親役で主演している。『推手』がアジア人とアメリカ白人のせめぎ合いの中から普遍的な家族の問題を描いたドラマとするなら、さらに極端な例を提示したのが本作。極端とは言っても、そこで見つめられるのは、やはり、アメリカ社会では現実的な問題である。ゲイの青年が偽装結婚をしたとこから巻き起こる騒動の中に、アジアからアメリカへの移民問題や民族間の結婚問題に加え、同性愛の問題も描いている。偽装結婚というコメディではありがちなシチュエーションで、期待通りのユーモラスな描写も楽しめる。しかし、ゲイという主人公の特異さを過度に笑い転化させるのではなく、ゲイでない観客にも彼に感情移入させるような非常に真摯な態度で語られている。登場人物がそれぞれに持つ文化的、民族的背景に基く考え方の溝は埋め難いものがある。しかし、物語の結末には、誰もが幸せになるべきであるという想いが込められているようで、なんともさわやかな余韻を残す。台湾式の華やかな披露宴の風景も見どころひとつだ。子宝に恵まれることを願って子供をベッドの上で飛び跳ねさせるとか、一歩間違えばセクハラという際どい儀式がなかなか面白い。



<<ストーリー>>

アメリカ市民としてニューヨークで暮す台湾出身のウィントンは、同性愛の恋人サイモンと同棲していた。ウィントンは両親から結婚の心配をされていたが、自分がゲイであることを打ち明けられず、異性の恋人がいると嘘をつき続けていた。
そんなある日、ウィントンの両親がニューヨークに訪ねてくることになった。ウィントンは両親を安心させるために、偽装結婚をすることを思いついた。ウィントンの偽の恋人役は、サイモンの管理するアパートで家賃が払えないでいる売れない画家のウェイウェイに頼んだ。
ウィントンとウェイウェイは、台湾からやってきたウィントンの両親の立会いのもと、役所で簡単な式を済ませた。だが、偶然、出会った父の昔の部下に勧められ、披露宴を催すことになってしまった。台湾式の盛大な披露宴が無事に終わった後、ウィイトンとウェイウェイは新婚初夜を過すことになり、実際に二人は結ばれてしまった……。



<<キャスト>>

[ガオ・ウェイトン]
ウィンストン・チャオ

[サイモン]
ミッチェル・リヒテンシュタイン

[ウェイウェイ]
メイ・チン

[ガオ氏]
ラン・シャン

[ガオ夫人]
グア・アーレイ

[治安判事]
マイケル・ガストン

[チェン老人]
ティエン・ファン



<<スタッフ>>

[監督]
アン・リー

[製作]
テッド・ホープ
ジェイムズ・シェイマス
アン・リー

[製作補]
シュー・リーコン

[脚本]
アン・リー
ニール・フェン
ジェイムズ・シェイマス

[撮影]
ジョン・リン

[音楽]
メイダー

[編集]
ティム・スキアーズ