ノーベル賞受賞式で政治的陰謀に巻き込まれた文学者の姿を描くサスペンス・スリラー。

逆転

THE PRIZE

1963  アメリカ

134分  カラー



<<解説>>

『北北西に進路を取れ』の流れを汲むと思われる、小粋でスタイリッシュな巻き込まれ型サスペンス・スリラー。原作はアーヴィング・ウォーレスのベストセラー小説。ノーベル賞授賞式で物理学者が別人にすり替わったことに気付いた小説家が、真相を調べるうちに途方もない陰謀に巻き込まれてい姿を描く。部外者が余計な好奇心と正義感をはたらかせたために、命をつけ狙われたり、その周辺までとばっちりを受けたり、といった展開はスリラーとして定番のものだが、活劇とは無縁と思われるノーベル賞授賞式を舞台にするという意外性が楽しめる。また、主人公が小説家だてらに殺し屋と交えるアクションも見どころ。この手の事件に関してはずぶの素人のはずの小説家が、やたらに身のこなしが軽かったり、体が丈夫だったりするのはツッコまない約束。しかし、そんな常人離れした主人公をポール・ニューマンが飄々とした演技である程度説の得力を与えているので、余計な疑問を感じずに引き込ませる娯楽作に仕上がっている。



<<ストーリー>>

ノーベル賞を受賞することになった小説家クレイグは、授賞式に出席するためストックホルムにやってきた。その時、クレイグは、前日会ったばかりの物理学賞受賞者のアメリカ人・ストラトマン博士の印象が、すっかり変わってしまっていることに気付いた。
クレイグは、様子のおかしいストラトマン博士に関して、ある男に呼び出された。呼び出された現場に急いだクレイグを待っていたのは、瀕死の状態の男で、その男は「かもめ」という謎めいた言葉を残して息絶えてしまった。その直後、クレイグは何者かに襲われるが、幸いにも命は助かった。
受賞式前夜のパーティの最中、クレイグは医学賞受賞者ギャレット博士から、ストラトマンを病院で目撃したと聞かされた。クレイグはギャレット博士の話に出た病院に向かうが、ストラトマンは既に運び出された後だった。そして、クレイグは再び何者かに命を狙われたのだった……。



<<キャスト>>

[アンドリュー・クレイグ]
ポール・ニューマン

[インゲル・リサ・アンダーソン]
エルケ・ソマー

[マックス・ストラスマン博士]
エドワード・G・ロビンソン

[エミリー・ストラスマン]
ダイアン・ベイカー

[デニス・マルソー博士]
ミシュリーヌ・プレール

[カルロ・ファレリ博士]
セルジオ・ファントーニ

[ジョン・ギャレット博士]
ケヴィン・マッカーシー

[バーティル・ジェイコブソン伯爵]
レオ・G・キャロル

[ヒルディング]
カール・スウェンソン

[オスカー]
ジョン・クァレン



<<スタッフ>>

[監督]
マーク・ロブソン

[製作]
パンドロ・S・バーマン

[原作小説]
アーヴィング・ウォーレス 「小説 ノーベル賞」

[脚本]
アーネスト・レーマン

[撮影]
ウィリアム・H・ダニエルズ

[音楽]
ジェリー・ゴールドスミス

[装飾]
ジョージ・W・デイヴィス

[装置]
ヘンリー・グレイス

[編集]
エイドリアン・フェイザン

[特殊視覚効果]
A・アーノルド・ギレスピー
J・マクミリアン・ジョンソン