リトル家の養子ネズミのスチュアートに小鳥のガールフレンドできた。
消えたガールフレンドを取り戻すためスチュアートは冒険に出発する。

スチュアート・リトル2

STUART LITTLE 2

2002  アメリカ

78分  カラー



<<解説>>

ネズミの養子の活躍を描いたファミリー映画『スチュアート・リトル』の続編。原作の絵本からのエピソードが盛り込まれた物語で、小鳥のガールフレンドとの恋を軸にし、さらわれた彼女を救おうとするスチュアートの冒険を描いていく。
今回の映像は黄系統の色を多用し、画面全体に明るさを出している。小鳥も黄色なら飛行機も黄色、おまけにリトル家の服装も黄色。特殊なフィルムを使用したのか、ポストプロダクションで加工したのか、前作以上に絵本的な質感を出すことに成功している。役者のメイクを濃くしているのか、悪く言えばマネキンのようだが、役者の方をCGに近づけることで、CGキャラの調和を取っているようだ。さらに、背景もどこまでが絵で、どこまでか実写なのか、境界線がまったく分からない。緻密な色彩設計と映像部門のコンビネーションが生み出したと想像される、驚きの映像は前作をしのぐ。アニマトロニクスには、『ベイブ』や『101』のジム・ヘンソン工房が参加。
「ネズミが養子!」というシチュエーションだけで、既に“出オチ”になってしまっている物語だと、前作のインパクトをしのぐ続編を作るのは、なかなか難しいとこがありそうだ。例えば、同趣向の映画『ベイブ』の続編は、ストーリーやギャグを若干、大人向けのブラックなものにすることで、前作との変化をつけていた。もちろん、趣向や方向性を変えるというのも、続編製作の手段として面白いのだけど、子供に愛され続けている絵本を題材にした本作は、前作の流れを完璧に踏襲した正攻法のストーリー作りに挑んでいる。
スチュアートにガールフレンドを登場させたり、家の周囲に限定されていいた世界を街の中まで拡大したりするのは、続編のストーリーとしてお手本のようなものだ。さらに、本作には、前作のインパクトに対抗するような、いくつかの意表をつくシチュエーションが用意されている。まず、主人公のガールフレンドというのをネズミではなく、小鳥にしたというところで興味を引かせる。小鳥の登場は原作にならったものであるが、絵本でしか成り立たないシチュエーションの映像化は必見だ。二人の体が小さいということを利用した遊び心のあるシーンが楽しく、テレビをドライブインシアターに見立てるところなんが特に素敵だ。後半はいよいよ、スチュアートが都会へ冒険に飛び出すのだが、ネズミが主人公の映画なのに、クライマックスが空中戦というのも想像がつかなさ過ぎて、のげぞってしまう。
スチュアートと小鳥の活躍だけでなく、猫のスノービルの活躍も隠れた見どころだ。前作ではスチュアートに意地悪をするライバル的なキャラクターだったが、本作では憎めない三枚目に挑戦。ちょっと意地悪なのは変わらないながら、物語の後半ではドジで間の悪いところが際立ってきて、スチュアートの良い引き立て役になっている。犬びいきなアメリカ映画の中での猫の扱いはいつもひどいもので、猫好きの人には辛いものがあるかもしれない。しかし、今回のスノービルの名演は、猫好きの人も大いに笑ってもらえるはずだ。
スノービルの活躍に加えて、今回はリトル家の面々の出番もバランスよく入っている。50年代のホームドラマをパロったような、リトル家の浮世離れした平和っぷりは、普通の映画なら笑いのネタにしかならないだろう。しかし、「スチュアート・リトル」の世界では、ファンタジーの世界との相乗効果で心地が良く、愛すべき一家の日常をいつまでも観ていたいくらいだ。前作では影が薄すぎたが、あのジーナ・デイヴィスが思いの他、可愛らしく撮られていることにもびっくり。



<<ストーリー>>

リトル家の養子、ネズミのスチュアートは家族の愛情を受けて幸せに暮らしていたが、たった一つの問題は、彼の体が小さすぎるということ。兄のジョージと一緒に出場した少年サッカーの試合では、ボールと一緒にシュートされて、ママのエレノアとパパのフレデリックを心配させるのだった。
そんなある日のこと、ジョージが友達のフィルと遊んでいる間に、スチュアートはジョージのラジコン飛行機を誤って動かしてしまった。スチュアートを乗せたまま外に飛び出した飛行機は墜落して壊れ、ジョージとエレノアを怒らせてしまった。フレデリックは、しょんぼりするスチュアートを、「どんな雲にも太陽の当たる“銀の裏地”がある」と言って、慰めたのだった。
ジョージと遊んでもらえなくなったスチュアートが、一人で学校から家へ帰る途中、彼の運転する車の助手席に空から小鳥が振ってきた。獰猛な鷹、ファルコンに追われ、翼を傷つけたのだ。スチュアートはファルコンを車でまくと、小鳥をリトル家に連れて帰った。小鳥はマーガロという名前で、家のない放浪の生活を送っているのだった。スチュアートは自分と同じ大きさのマーガロに親近感を抱き、翼が治るまで家に留まることすすめた。
エレノアは愛らしいマーガロをすぐに気に入り、家族に迎えた。だが、実はマーガロはファルコンと組んで民家に盗みに入る詐欺師だった。いつも同じ手口で家庭に潜入し、金目のものを物色していたのだ。マーガロははじめて自分を受け入れてくれたリトル家に特別な思いがあり、盗みを働くことに抵抗があった。特にスチュアートとは互いに友情以上の感情で結ばれていたが、二人が親しくしているところをファルコンに見つけられてしまった。
恩人であるファルコンに逆らうことが出来なかったマーガロは、仕方なくエレノアのダイヤの指輪を盗んだ。エレノアは指輪をキッチンの排水管に落としたと思って大騒ぎ。スチュアートは自ら進んで配水管の中に捜索に行くが、命綱が切れてしまった。外で家の様子を伺っていたマーガロは、見かねて飛び出し、エレノアのネックレスをロープ代わりにして、排水管からスチュアートを救い出した。
その夜遅く、マーガロはリトル家をこっそり出て行った。スチュアートは、マーガロが別れも告げず、なおかつ、お気に入りのピンを置いたまま姿を消してしまったことが気にかかった。「ファルコンにさらわれのたかもしれない」と思ったスチュアートは、マーガロを探しにいくことを決意した……。



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