アフガンでソ連軍の捕虜になった元上官を救うためランボーがゲリラと共闘。
「ランボー」シリーズ第3弾。

ランボー3
怒りのアフガン

RAMBO III

1988  アメリカ

101分  カラー



<<解説>>

今度は当時、ソ連が侵攻中だったアフガニスタンを舞台にした三作目。ランボーとアフガン・ゲリラが手を組んでソ連に戦いを挑むという話である。今ではアメリカ的にはなかったことにされているが、アメリカがアフガン・ゲリラを支援し、ソ連に対して代理戦争のような真似させていたのは周知の事実。あれから世界情勢が様変わりした今、本作を観ると、まるでスタローン版『アラビアのロレンス』とでも言えるような雰囲気をかもしだしている。もちろん、実際はそれほど上等な代物ではないが。
世捨て人のように田舎で平穏な生活を送っていたランボー。そんな彼のもとに訪ねて来た元上官が、新たな任務につくことを迫るところから物語は始まる。毎度、無茶苦茶な内容の「ランボー」シリーズに、国策的な意図があったとは思えないが、ベトナム戦争の誤りを訴え続けてきたランボーが、結果的にアフガン戦争の宣伝の片棒を担がされることになったのは皮肉なことである。国家がランボーのことを007か、はたまた、便利屋のように扱っているのも哀れだ。今回、ランボーが兵士に戻るかどうかの葛藤は相当のものだった。苦労が省みられない一兵士の姿が描けているという点では、一作目に回帰したと言っても良いかもしれない。
元上官トラウトマンがソ連に捕まったという報せを受けた途端、兵士に戻らないというランボーの決心はあっさりと崩れ去る。舞台をアフガン移してから先は、前作同様、好戦的なアクションの連続となるが、同時に、アフガン・ゲリラとの交流もひとつの見どころになっている。同じ兵士とし人種や宗教を越えてゲリラと心通わせていくランボー。今では不思議な光景に思えてしまうが、神のためなら死すら厭わないといういわゆる原理主義的なゲリラの思想にも敬意を表している。殺人マシーンである彼がゲリラの少年に時折、見せる人間的な優しさも感動的だ。また、今回はランボーの孤独な戦いではなく、彼に助けられたトラウトマンも一緒にゲリラ戦を繰り広げる。息の合った二人のやりとりは、ゲリラとの交流同様に面白い。
前作のジャングルに変わり、今回の戦場は砂漠である。戦闘も本格的になり、数多くの戦車や戦闘ヘリが登場。その他の銃器に関してもより火力の強いものとなり、全体的に戦闘シーンは前作以上に派手なものとなった。ただ、見晴らしが良く小回りの利かない砂漠では、ランボー得意のゲリラ戦法は通用しないように思える。しかし、洞窟や下水溝で戦う場面を多くすることでランボーの本領が発揮され、アクションが単調にならないようにしてあるようだ。地下道ではランボーのキャラクターを良く現した名場面を生んだ。手傷を負った彼が傷口の火薬に自ら火をつけるという場面で、この時のランボーの鬼気迫る表情は必見だ。



<<ストーリー>>

タイのバンコクにトラウトマン大佐がやってきた。ランボーが現地にいるという情報が得られたからだ。トラウトマンは路地裏で、拳闘士として戦うランボーを発見した。だが、声をかける間もなくランボーは去ってしまった。翌日、トラウトマンと国務省情報局のグリッグスは、田舎町の寺で建物の修理をしていたランボーを訪ねた。久しぶりの再会だった。ランボーは現在、この地で静かな生活を送っていた。寺に住まわせてもらっている代わりに、拳闘士で稼いだ金を寺に入れていのだった。
トラウトマンとグリッグスがランボーを訪ねたのは、重要な極秘任務を頼むためたった。現在、アフガニスタンでは、侵攻したソ連が農民の家族を組織的に虐殺していた。ソ連軍に対抗するため、現地にミサイルが供給され始めているが、ジュルム地区にだけは、ソ連の指揮官により武器の流入を遮断されていた。そこで、敵の裏をかくための現地調査にランボーが選ばれたのだった。だが、ランボーは、自分の戦争が終わったと決め、ここで静かに暮らすことを望んでいた。トラウトマンは、ランボーに自分が兵士であるという本質を気付かせようとしたが、それも無駄だった。
トラウトマンが去ってから数日後、ランボーのもとにグリッグスが急を報せにやってきた。トラウトマンはランボーに代わって調査隊に参加していたが、敵に発見され、捕虜となってしまったのだという。ランボーはすぐにトラウトマンを助けに行くことを決断。ただし、グリッグスは、作戦は非公式でなければならないと告げた。グリッグスは立場上、表立った協力が出来なかったが、パキスタンのペルシャワの武器屋をランボーに紹介した。ランボーは武器屋にたアフガン人兵士ムサの案内で国境を越え、アフガニスタンに入った。
その頃、トラウトマンは、ジュルム地区のソ連軍基地に囚われていた。基地の指揮官ザイセン大佐は、スティンガー・ミサイルがアフガン・ゲリラに供給されることを警戒し、ミサイルがどこに届けられるのかトラウトマンに吐かせようとした。トラウトマンがザイセンの酷い拷問に耐えていた時、一人のソ連軍兵士がザイセンに報告にやってきた。トラウトマンはその時知った。ランボーが自分を助けるため、ここに向かって来ていることを。
ランボーはムサと一緒に洞窟を抜け、ゲリラたちの潜伏する村に辿り着いた。ゲリラたちはムジャヒディンの戦士と呼ばれ、神と祖国のためなら命も惜しまない男たちだった。村と基地の間には地雷原が広がっていた。ゲリラたちはランボーが地雷原を行くこと止めようとしたが、ランボーは一人でも行く覚悟だった。戦闘の間の束の間の平穏を利用し、ゲリラたちは遊びに講じていた。ランボーもその仲間に入ったが、憩いの一時はソ連軍の戦闘ヘリの爆音で断ち切られた。ランボーたちの抵抗も空しく、ゲリラとその家族に多くの死傷者が出てしまった……。



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