地上げ屋の嫌がらせを受けていた古アパートの住民たちの前に
不思議な空飛ぶ円盤が現われて数々の奇跡を起こす。
スピルバーグ製作総指揮のファンタジー。
ニューヨーク東8番街の奇跡
*BATTERIES NOT INCLUDED
1987
アメリカ
106分
カラー
<<解説>>
ニューヨーク下町のアパートに暮す老夫婦を中心とした住民と、そこにやって来た円盤型宇宙生物との交流をハートウォームに描く人情喜劇風のSFファンタジー。原題は「電池別売」の意。ILMのSFXは派手さよりもあたたかみを出し、手乗りサイズの空飛ぶ円盤に生命に吹き込んでいる。
スピルバーグが製作総指揮にあたったというだけあって、『未知との遭遇』や『E.T.』のパロディのようにも見えてくる作品だ。しかし、この手の作品に付き物である、未知の存在を研究や金儲けに利用しようとする第三者が登場するなどといった殺伐とした展開にならないのが本作の面白いところ。そもそも、未知の存在をめぐるサスペンスや合理的な説明をつけようということに監督の興味が向いていようである。あくまで、“未知との遭遇”がお茶の間レベルで描かれ、そこから風呂敷が広がらないところが可笑しいのである。
円盤と関わる登場人物は、世間からのつまはじきやおちこぼればかり。そのことによくよく注意して観ると、少々痛々しい物語でもある。しかし、世の中からつまはじきにされる悲しみや苦しみを知っている人間の本当の優しさやがさりげなく示され、どうにもあたたかい気持ちになれる作品に仕上がっている。円盤たちをその正体や目的にこだわることなく受け入れ、未知の物を未知でなくしてしまうアパートの住民。そんな愛すべき人たちの存在こそ、この作品の本当のファンタジーだったりするのかもしれない。
<<ストーリー>>
ニューヨークの下町の一角に建つ古びたアパート。そこには、フランク・ライリーとフェイの老夫婦、売れない画家のメイソン、恋人に逃げられた妊婦のマリサ、そして、管理人の元ボクサーのハリーが暮していた。彼らは近頃、土地の再開発のために彼らを追い出そうとする地上げ屋の嫌がらせに困っていた。
ある日のこと、フランクたちのもとにどこらともなく小さな空飛ぶ円盤がやってきた。地上げ屋が壊したアパートを直してくれた円盤は、それからアパートの屋上に住むようになった。フランクたちは円盤をアパートの住民として受け入れ、やがて円盤が生んだ三つの子円盤の面倒をみたりと、彼らに親切にするのだった。
フランクたちアパートの住民は、円盤たちの協力のおかげで、以前の平和な生活を取り戻していった。だが、それを地上げ屋たちが黙ってみているはずもなかった……。
<<キャスト>>
[フランク・ライリー]
ヒューム・クローニン
[フェイ・ライリー]
ジェシカ・タンディ
[ハリー・ノーブル]
フランク・マクレイ
[マリサ・エステヴァル]
エリザベス・ペーニャ
[カルロス]
マイケル・カーマイン
[メイソン・ベイラー]
デニス・ボウトシカリス
[シド・ホーゲンソン]
トム・アルドリッジ
[マリエル・ホーゲンソン]
ジェーン・ホフマン
[ガス]
ジョン・ディサンティ
[コヴァクス]
ジョン・パンコウ
[レイシー]
マイケル・グリーン
[トンプソン夫人]
ドリス・ベラック
[パメラ]
ウェンディ・スカール
[乱暴者]
ジェイムズ・レグロス
[ルイー]
ロナルド・シュワリー
<<スタッフ>>
[監督]
マシュー・ロビンス
[製作]
ロナルド・L・シュワリー
[製作総指揮]
スティーヴン・スピルバーグ
フランク・マーシャル
キャスリーン・ケネディ
[製作補]
ジェラルド・R・モーレン
[原案]
ミック・ギャリス
[脚本]
ブラッド・バード
マシュー・ロビンス
ブレント・マドック
S・S・ウィルソン
[撮影]
ジョン・マクファーソン
[音楽]
ジェイムズ・ホーナー
[視覚効果監修]
ブルース・ニコルソン
[特殊効果]
インダストリアル・ライト・アンド・マジック
[美術]
テッド・ハワース
[編集]
シンシア・シェイダー
[衣装デザイン]
アギー・ゲラード・ロジャース
[キャスティング]
ペニー・ペリー