<<ストーリー>>
灰色の浪人生活から抜け出し、大学生活をスタートさせた満男だったが、最近は学校をサボり気味。親に世話を焼かれる生活に窮屈さを感じていた彼は、自立する計画を立て、下宿代をアルバイトで稼ぎ出そうとしていた。そんな息子に困り果てたさくらは、ある夜、厳しく注意するよう博に頼むが、かえって親子の衝突を生むことに。反省するどころか、親の言葉を軽くあしらう満男に、博は思わず「出て行け」と声を荒げてしまった。
十五夜の前日、満男の高校の後輩でガールフレンドの泉が、名古屋から突然、“くるまや”に訪ねてきた。母親・礼子と別居して、東京で別の女性と暮している父親・一男に会いたくなったからだという。だが、その日は父親の会社は休みだったため、泉は“くるまや”に寄ったのだった。一方、満男は両親の反対にもかかわらず、下宿探しをすすめ、一軒のアパートと契約した。さっそく、友人に手伝わせて引越しをすることになったが、家に帰るそこに泉が来ているのを見て目を丸くした。引越しを取り止めた満男は、友人たちを追い返すのだった。
その日の諏訪家の夕食は、泊まっていくことになった泉の同席のおかげで、久しぶりに和やかだった。就寝前のひと時、二階の満男の部屋にやってきた泉は、もし一男と会えたら、彼に礼子とやり直して欲しいと頼むつもりであることを打ち明けた。どうにか泉の力になりたいと思う満男は、父親探しに付き添うことを約束した。その頃、下階の博は、若い男女である満男と泉が上で何をしているのか心配で仕方がなかった。上の様子がが気になって、博とさくらは眠れぬ夜を過ごすことになったのだった。
翌朝、満男と泉は、一男の勤め先である秋葉原のインテリア専門店を訪ねた。だが、応対に出た内藤という社員から、既に一男が会社を辞めていたことを知らされた。行き違いになってしまったことに泉は落胆するが、内藤が人事にと言わさせたことにより、現在、一男が大分県の日田にいることが分かった。一方、その頃、“くるまや”に寅次郎が帰宅してきた。家の者の様子がどうもちぐはくしていることを気付いて、すぐに旅に出ようとした寅次郎だったが、店先でちょうどやって来た泉と満男と遭遇。泉を笑顔で迎えた寅次郎は、当然、出発を取り止めにしたのだった。
その夜、泉は、一男と会うのを諦めて、やっばり礼子のところに戻ることを、寅次郎を通じてさくらたちに伝えた。翌日、満男と泉は別れの前に一緒に海を眺めたが、二人とも始終無言だった。そして、新幹線のホームで別れの時が来ると、泉は博多行きの切符を満男に見せた。昨晩の発言はさくらたちを安心させるためのもので、本当は一男と会うつもりだったのだ。戸惑う満男だったが、ドアが閉まる直前、衝動的に新幹線に飛び乗った。
“くるまや”では、寅次郎がさくらたちに別れを旅に出ようとしていた。そこへ、新幹線の満男から電話がかかってきた。満男が泉と日田に行こうとしていることを知った博とさくらは、どう対応して良いか分からず大慌て。満男を信頼する寅次郎は、未だに息子を子ども扱いする博たちを諌めた。その時、店先に礼子が現われた。礼子を連れ戻しにやってきたのだが、事情を知って呆然。礼子が色っぽかったものだから、寅次郎は態度を急変させ、満男と泉を心配するような素振りを見せた。そして、礼子に二人の後を追いかけるよう促した。もちろん、寅次郎も一緒にである……。
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