<<ストーリー>>
小説家のゴーディ・ラチャンスは、新聞で弁護士のクリス・チェンバースが刺殺されたという記事を見て、自分がはじめて死体を目にした時のことを思い出した。それは、1959年の夏のことだった。
オレゴン州の小さな町キャッスルロック。小説を書くことが得意な好きな12歳の少年ゴーディは、いつも三人の友達とつるんで遊んでいた。フランス系のテディ・デュチャンプは、向こう見ずな性格。彼の父親は酒ぐせが悪く、テディが赤ん坊の頃に耳をストーブで焼き潰した。それでも、テディはノルマンディの英雄である父親を尊敬していた。クリス・チェバースはリーダー格でゴーディの一番の親友。彼の家は近所でも評判が悪く、彼自身も札付きの不良として有名だった。バーンは仲間の中でいちばんののろま。いつもの他の皆にからかわれていた。
ある日、ゴーディとテディとクリスが木の上の秘密基地でカードをしていると、バーンが大きなニュースを持ってきた。彼は「死体を見たことがあるか」と切り出し、話し始めた。バーンは自宅の床下に埋めた貯金箱を探している時に、兄のビリーと友達のチャーリーの話を立ち聞きすることになった。二人の会話によると、彼らはここから48キロ離れたバック・ハーロウ・ロードで、列車にはねられた死体を偶然発見したのだという。それは行方不明になっているレイ・フロアー少年だった。だが、ビリーとチャーリーは、車を盗んだことがバレるのを怖れ、死体を見つけたことを二人だけの秘密にすることにしたのだった。
レイの死体を見つければヒーローになって、テレビや新聞に出られる。そう考えたクリスたち四人はキャンプを口実にして、バック・ハーロウ・ロードまで死体を確認しに行くことに決めた。だか、ゴーディは皆と一緒に騒ぐ気にはなれなかった。というのも、ゴーディはクォーターバック兄デニーを車の事故で亡くしたばかりだったのだ。ゴーディの両親は、デニーの死からまだ立ち直れないでいた。家の中で影の薄くなったゴーディは疎外感を感じていた。ゴーディはデニーの宝物だったヤンキースの帽子を被って家を出たが、不良たちのボスのエースとクリスの兄アイボールに取り上げられてしまった。一方、クリスは父親の机からピストルをくすねてきて、ゴーディをびっくりさせた。
ゴーディたちキャッスルロックを出たのは、もう昼近くだった。四人はロイヤル川に出るまで、線路の上を歩くいていくことにした。食べ物は誰も持ってきていなかったので、四人の持ち金をすべて合わせたが、2ドル37セントにしかならなかった。しばらく歩くと汽車がやってきた。ゴーディとクリスとバーンは列車をやり過ごすことにしたが、テディは線路の上から動こうとしなかった。列車を寸前でかわすと言って聞かないテディを、クリスは無理矢理に線路から下ろした。クリスとテディは喧嘩になりかけるが、クリスから握手を求め、二人は仲直りした。
くず鉄置き場に到着したゴーディたちは休憩することにした。ここには管理人のマイロと凶暴な番犬のチョッパーがいたはずだが、なぜか見当たらなかった。コイン・トスで負けたゴーディは皆から集めた金を持って、ひとりで食料の買出しに出かけた。ゴーディが商店からもどってみると、ちょうど他の皆がフェンスを越えてくず鉄置き場から出ていくところだった。ゴーディが振り返ると、マイロがチョッパーをけしかけるところだった。ゴーディは慌ててフェンスに飛びつくが、猛犬と噂されたチョッパーはどこにでもいそうな犬だった。マイロはチョッパーをからったクリスたちへの仕返しに、彼ら一人ひとりを侮辱した。クリスたちは不愉快になったが、特に、尊敬する父親を気違い扱いされたテディは口惜しそうに泣いていた。
ビリーとチャーリーの二人だけの秘密の約束は破られ、レイの死体のことはエースの知るところとなった。エースたちが死体を捜しに動き始めた頃、ゴーディはクリスと並んで歩きながら、中学へ行った後のことを話し合った。クリスはゴーディに中学では別々のコースになるだろうと言った。優秀なゴーディは進学コース、オチこぼれの自分は職業訓練コースへ進むものだと決めてかかっていたのだ。また、クリスは、ゴーディが自分たちのような低級の人間と付き合うことが彼にとって良くないことだとも思ってきた。クリスはゴーディに偉大な作家になるようすすめたが、ゴーディにはそのつもりはなかった。クリスは、ゴーディが小説を書く才能を持ちながらそれを捨てようとしていることが、自分に関心を持ってくれない親への反発であることを見抜いていた……。
クレジットはこちら