幸せに暮していた妻が夫の死をきっかけに夫の真実の姿に気付く。
幸福が崩れ去る恐怖を描いたサスペンス。

幸せの向う側

DECEIVED

1991  アメリカ

104分  カラー



<<解説>>

離婚率の高まりに伴なって、離婚・再婚の問題は映画やドラマの恰好のネタとなっている。本作もそんな時代の流れに反応しているが、ロマンスやホームドラマという直球ではなく、離婚問題という社会の抱える不安をスリラーとして現出させている。ジュリア・ロバーツが主演した『愛がこわれるとき』も、ずっと続くと思われた夫婦の幸せがもろくも崩れ去る様を描いたサスペンスであり、妻の視点で描かれてるところも本作と共通している。『愛がこわれるとき』では、妻が夫の前から姿を消すという展開であったのに対し、本作では逆に、夫が事故死という形で妻の前から消したとこが事件の発端となっている。亡き夫のことを調べるうちに、妻も知らなかった夫の本当の姿が浮かびあがっていく様がスリリングだ。夫の裏切りに気付いた妻の呆然としたした表情には、ゴールディ・ホーンの魅力が活かされている。巻き起こる事件は非日常的なものだが、離婚問題とのアナロジーにより、妻のショックには日常レベルで十分に共感できるようになっている。特に優れているのは、事件がどんな結末を迎えたとしても、夫との間の娘と家族の思い出が残されるという事実である。事件後も続くであろう妻の苦しみを思えば、観終わった後もやるせなさはが残る作品だ。



<<ストーリー>>

美術館で働くエイドリアンは、職場で知り合ったジャックと結婚し、娘のメアリーと三人で幸せな日々を送っていた。ある日、勤め先の美術館長が殺される事件が起こった。さらに、ジャックが自分で美術館に取り寄せたネックレスが偽物にすりかえられていたことも分かった。ネックレスのことを気にするジャックは、それ以来、様子がおかしくなった。エイドリアンは、そんな夫のことを、浮気をしているのではないか、と疑い始めた。
そんな時、ジャックが交通事故で死んでしまった。エイドリアンは、夫の死をきっかけに、彼が名前が偽名であり、名前をかたられた本物のジャックは既に死亡していることを知った。自分の夫だったジャックとは、いったい何者だったのだろうか? さらに、夫のことを調べていったエイドリアンは、ジャックの同級生の中に夫と思われるフランクという人物がいることを掴んだ。エイドリアンは、夫のすべてが嘘だったのかと思い、ショックを受けた……。



<<キャスト>>

[エイドリアン・ソーンダース]
ゴールディ・ホーン

[ジャック・ソーンダース]
ジョン・ハード

[シャーロット]
ロビン・バートレット

[メアリー・ソーンダース]
アシュレイ・ペルドン

[エイドリアンの母]
ビアトリス・ストレイト

[キャロル・ギンゴールド]
マイア・フィラー

[ハーヴェイ]
トム・アーウィン

[トマス]
ヤン・ルーブス

[エレン]
アナイス・グラノフスキー

[ピアボディ夫人]
ハイジ・フォン・パレスク

[キンセラ刑事]
スタンリー・アンダーソン

[検死官助手]
マイケル・コープマン

[エヴリン]
エイミー・ライト

[ロザリー]
ケイト・リード



<<スタッフ>>

[監督]
ダミアン・ハリス

[製作]
マイケル・フィネル
ウェンディ・ドゾレッツ
エレン・コレット

[原案/共同製作]
メアリー・アグネス・ドナヒュー

[脚本]
メアリー・アグネス・ドナヒュー
デレク・ソーンダース (ブルース・ジョエル・ルービン)

[撮影]
ジャック・N・グリーン

[音楽]
トーマス・ニューマン

[美術]
アンドリュー・マカルパイン

[編集]
ニール・トラヴィス