高校の下級生に恋をした満男は彼女に会うため佐賀まで家出。
現地で出会った寅次郎が恋の指南役を買って出るが……。
シリーズ第42作。
男はつらいよ
ぼくの伯父さん
1989
日本
108分
カラー
<<ストーリー>>
浪人生の満男は近頃、勉強に身が入らず、予備校の授業も上の空。口うるさい両親にもイライラしていて、つい反抗的な態度をとってしまうのだった。その原因は、柴又高校に通ってきた頃、ブラバン部で一緒だった下級生、及川泉のこと。両親の離婚をきっかけに名古屋に引っ越していた彼女から、最近になって手紙が届くようになったのだ。泉の相談に乗るうち、次第に膨れ上がる彼女への思い。泉に会いに行きたいと思うようになった満男は、名古屋への旅行を考えるが、両親には浪人という立場を理由に聞き入れてもらえなかった。
さくらは、満男の様子を見るうち、母親の勘から、息子が恋をしているのではないかと思った。とにかく、満男が悩みを抱えているようなのは確かである。だが、博は満男の反抗的態度を腹に据えかねているようで、彼の話を聞くどころではなかった。そんな時、タイミング良く、寅次郎が“くるまや”に帰ってきた。さくらは藁にもすがる思いで、寅次郎に満男の悩みを聞いてくれるよう頼んだ。その夜、満男は寅次郎に誘われると、素直に彼に従って出かけていった。だが、竜造とつねは、あの馬鹿(寅次郎)が満男の相談相手になれるわけがないと、大反対。博とさくらも、寅次郎に任せたことを後悔し始めた。
その頃、竜造たちが危惧していた通り、寅次郎はどじょう屋で満男に酒の飲み方を教えていた。ひとしきり酒と料理を楽しんだ頃、寅次郎は満男に悩みを切り出すよう促した。とたんに黙ってうつむいてしまった満男を見た寅次郎は、甥が恋をしていることに気づいた。満男は寅次郎の巧みな誘導で、泉に思いを寄せていることを告白するが、それが恋であることは強く否定した。彼は、泉に対する気持ちが不順で不潔であると思い、そのことを恥じていたのだ。だが、かつて博がさくらに抱いていた気持ちも同じようなものだったことを寅次郎から教えられた満男は、少し気が楽になったのだった。
その夜遅く、寅次郎と満男が酔っ払って“くるまや”に戻ってきた。寅次郎は未成年である満男に酒を飲ませたことをめぐって、竜造や博たちと大喧嘩。そして、翌朝、いつものように突然、旅に出てしまった。博とさくらは、満男がこっそりバイトをして、名古屋旅行の資金を貯めていることに気づいていた。数日後、博とさくらは満男を問いただそうと、彼の帰りを待ち受けていたが、その日はいつもより帰りが遅かった。さくらがまさかと思って満男の部屋を見に行くと、壁には「旅に出ます」と張り紙がしてあった。満男は家出してしまったのだ。それから博は満男のことを気にしていないそぶりで仕事に勤しんでいた。だが、周囲の社長たちは、博があれでいて息子のことを心配していることに気づいていた。
満男はバイクを飛ばし、翌朝、名古屋の泉の家を訪ねたが、そこに泉はいなかった。近所の人の話で、泉がどこかへ引っ越したらしいと知った満男は、泉の母親の礼子が勤めるスナックを訪ねた。礼子は泉が自分のもとから離れ、佐賀で暮らす妹の寿子のもとにいることを満男に教えた。満男は再びバイクを走らせ続け、一路、九州へ向かった。気持ちが焦るあまり、急カーブでバイクを転倒させてしまった満男は、三橋というライダーに助けられた。ところが、親切に見えた三橋は実はホモで、彼に迫られた満男は大慌てで逃げ出すことに。そんな危険な目に遭いながら、ようやく、佐賀に到着した。ちょうどその頃、寅次郎も佐賀で商売をしていた。
満男は泉の家の前で、ちょうど学校から帰ってきた泉と再会した。満男がはるばる東京から自分を慰めに来てくれたと知り、泉は大感激した。満男は日暮れまで泉と語り合った後、明日、改めて会うことにし、今夜はどこかに宿を探すことにした。あいにく宿はどこも満室で、仲居から相部屋をすすめられることに。知らない人と一緒の部屋というのはあまり気が進まなかった満男だったが、部屋をいってみると、そこにいたのはなんと寅次郎だった……。
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