隣人からスワッピングを持ちかけられた男。
たが、彼と一夜を過ごした隣人の妻は翌朝、死体で発見される。
身に覚えのない殺人容疑をかけられた男の姿を描くサスペンス。

隣人

CONSENTING ADULTS

1992  アメリカ

95分  カラー



<<解説>>

『羊たちの沈黙』から『セブン』に至るまで、90年代前半には数多くのサイコ・スリラー映画がられた。その中でも怖かったのが、『ゆりかごを揺らす手』、『ルームメイト』など、ご近所を舞台とした作品であり、それは、近隣の交流が希薄になった現代にもマッチしている。そんな、“ご近所サイコパス”ものに、社会派サスペンスの巨匠パクラが挑んだのが本作である。もっとも身近な赤の他人であるお隣りさんがもたらす、逃げ場のない恐怖をパクラ得意のミステリー・タッチで描いていく。
理不尽過ぎる物語は現実離れしているが、加害者と被害者の双方の人間の欲望が起こした犯罪であるところが、同種のサイコ・スリラーよりも深みがある。しかしながら、最大の見所は、クラインとスペイシーという、変幻自在の二人性格俳優の激突である。人間の心の弱さを表現したクライン。人間の心の闇を表現したスペイシー。対象的だが実は表裏一体とも言える二人の対決が相まって、心底震え上がらせるスリラーに仕上がった。特にスペイシーの見るからに怪しげな風貌と言動が強烈な印象を残す。オチは予定調和だが、考えさせるものがある。



<<ストーリー>>

妻と娘と三人で幸せな生活を送っていたリチャード・パーカーの隣の家に、オティス夫妻が引っ越してきた。パーカー一家はオティス夫妻とすぐに仲良くなるが、夫のエディ・オティスの行き過ぎた行動は、リチャードにとって理解しがたいものがあった。エディは、リチャードが借金を抱えていることをしるや、当たり屋まがいのことをし、そうして手に入れた保険金を分けてくれたりするのだ。
そんな冒険心の強いエディが、ある日、リチャードに夫婦交換の話を持ちかけてきた。一晩だけ、リチャードの妻プリシラと、エディの妻ケイを取り替えるというのである。エディの申し出を拒み続けていたリチャードだったが、密かにケイの肉体にひかれていたため、プリシラとの仲がうまくいかなくなったことをきっかけに、誘惑に負けてしまうのだった。
リチャードは妻を交換し、ケイと夢のような一夜を過ごした。だが、翌朝、ケイは死体で発見された。身近にいたリチャードにケイ殺害の嫌疑がかけられ、逮捕された。あらゆる証拠がリチャードが犯人であることを示していたのだ。リチャードが獄中にいる間、プリシラはエディに奪われてしまった……。



<<キャスト>>

[リチャード・パーカー]
ケヴィン・クライン

[プリシラ・パーカー]
メアリー・エリザベス・マストラントニオ

[エディ・オティス]
ケヴィン・スペイシー

[ケイ・オティス]
レベッカ・ミラー

[デイヴィド・ダットンヴィル]
フォレスト・ウィッテカー

[ジョージ・ゴードン]
E・G・マーシャル

[ローリー・パーカー]
キンバリー・マックロー

[アニー・ダットンヴィル]
ビリー・ニール

[ワトキンス氏]
エド・グラディ



<<スタッフ>>

[監督]
アラン・J・パクラ

[製作]
アラン・J・パクラ
デイヴィッド・パーマット

[製作総指揮]
ピーター・ジャン・ブルージ

[脚本]
マシュー・チャップマン

[撮影]
スティーヴン・ゴールドブラット

[音楽]
マイケル・スモール

[美術]
キャロル・スピア

[編集]
サム・オースティン

[キャスティング]
アリクス・ゴーディン

[衣装デザイン]
アン・ロス
ゲイリー・ジョーンズ