<<ストーリー>>

1970年に開催された日本最大のイベント「世界万国博覧会」。しんのすけ、ひまわり、みさえの三人が「万博」にやってくると、突如、会場に怪獣が出現した。しんのすけたちのピンチに駆けつけたひろしは、スーパーヒーロー・ひろしSUNに変身。ひろしSUNの大活躍により、「万博」は救われたのだった――というのは、このたび春日部のはずれに出来たテーマパーク「20世紀博」のアトラクションのひとコマである。前世紀のなつかしいものをいっぱい集めたこの「20世紀博」は、今、懐かしさを求める大人たちの間で大流行。現実でも、20世紀を見直す動きが高まっていた。そのおかげで迷惑を被っているのは、しんのすけたち子供である。ひろしたちが、子供の頃に大好きだった特撮物やアニメを夢中で観るようになり、「アクション仮面」のビデオを見せてくれないのだ。
ある夜、テレビで「20世紀博」からメッセージが放送された。メッセージは「明日の朝、お迎えにあがる」という、それだけの内容だった。だが、それを見た瞬間から、ひろしとみさえの様子がおかしくなり、二人は夕食もとらずにさっさと寝てしまった。その頃、「20世紀博」を作った秘密組織「イエスタデー・ワンスモア」のリーダー・ケンとチャコは、21世紀の終わりを宣言。新世紀の汚れた現実を憂うケンとチャコは、まだ夢や希望のあった20世紀に世の中を戻そうと企んでいたのだ。
翌朝、家中のお菓子やジュースを飲み食いし尽くしてしまったひろしとみさえは、家事もせず、仕事にも行こうとしないまま、家でゴロゴロし始めた。すっかり怠け者になってしまった二人を尻目に、しんのすけは幼稚園に出掛けることにした。だが、しんのすけが家の外で見たのは、子供のように無邪気に遊ぶ大人たちの姿だった。その時、町にたくさんのトラックが列をなしてやってきた。トラックは町の大人たちを荷台に乗せると、走り去ってしまった。荷台の大人たちの中にはひろしのみさえの姿もあった。だが、しんのすけが追いかけ、必至で呼びかけても、二人は戻ろうとしなかった。
春日部から大人が消え、子供たちだけになってしまった。しんのすけとひまわりは、友だちの風間くん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんと集まった。それから、しんのすけたちは、無人のコンビニやスナックで食べ物を調達し、一日をしのいだ。その夜のこと、昔の音楽しか流さなくなったラジオから、子供たちにむけてケンからのメッセージが発せられた。それは、「迎えをやるからそれに従うように。抵抗する者は明日の朝八時を境に捕まる」というものだった。おとなしく「20世紀博」に行けば、パパやママに会えるということだった。だが、大人だけの国を作ろうとするケンたちの陰謀に気付いたしんのすけたちは、逃げることを決意した。しんのすけたちは、デパートの家具売り場で一夜を明かした。
翌朝、しんのすけたちが目覚めると、時刻は既に、ケンの予告していた8時を回っていた。デパートの窓から外を見ると、ケンの放った捕獲隊がやってきていて、逃げる惑う子供たちを次々と捕まえていた。捕獲隊の中には、「20世紀博」から発せられる昔の匂により、すっかり洗脳されてしまったひろしとみさえの姿もあった。二人は、デパートの中にいたしんのすけたちを見つけ、我が子とも思わず、追い掛け回した。このままでは逃げ切れないと考えたしんのすけたちは、捕獲隊が乗ってきた幼稚園の送迎バスを奪って逃げることにした。しんのすけたちはバスを自ら運転し、捕獲隊たちの包囲網から脱出した。
送迎バスで愛車の「スバル2000GT」に傷をつけられ、「トサカにきた」ケンは、手下たちと共にしんのすけたちを追跡した。壮絶なカーチェイスの最中、しんのすけたちはバスが向かっている方向に「20世紀博」があることに気付いた。だが、そのまま敵の陣地に乗り込み、大人たちを救うことを決意した。「20世紀博」に突撃したバスは、支柱に激突して止まった。バスに一緒に乗っていた風間くんたちは、あっさりケンたちにつかまってしまうが、しんのすけはひまわりとシロをつれて、その場を切り抜けていた。一方、ひろしは捕獲隊に参加した褒美として、ケンから「万博」のフリーパスを与えられていた。
捕獲隊に見つからないよう「20世紀博」内をさまよっていたしんのすけは、「70’Expo」と書かれた扉をくぐった。扉の向こうは「万博」の会場で、しんのすけは少年時代のひろしと出会った……。



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