“赤いクメール”が内乱を起こすカンボジアを舞台に
アメリカ人記者と現地人記者の友情を描くドラマ。
キリング・フィールド
THE KILLING FIELDS
1984
イギリス
141分
カラー
<<解説>>
ベトナム戦争が生んだ別の悲劇であるカンボジアの内戦を背景に、現地人記者とアメリカ人記者の体験記を映画化した真実のドラマ。政情が混乱する中で、民族の違いが原因で引き裂かれた二人の記者。一方はアメリカでピューリッツァー賞の栄光に包まれ、もう一方は、現地で過酷な強制労働を強いられる。数奇な運命に翻弄されながらも、数年もの間、互いを信じ続けた二人の友情を描く。
地上の地獄を描いた映像が頭がぐらぐらするほど圧倒的で、にわかには信じがたいほど途方も無いストーリーに力強い説得力を与える。アメリカ軍の横暴、ポル・ポトの虐殺など、戦争とは名ばかりの市民への容赦の無い暴力を描いた前半。革命勢力に負われた現地人記者が、内戦の傷跡がすさまじい荒野を彷徨いつづける後半。ジョン・レノンの「イマジン」をフィーチャーした感動のラストまで見応え十分。「アルハンブラ宮殿の思い出」をアレンジした哀愁あふれるテーマをはじめ、プログレ・ミュージシャンのマイク・オールドフィールドによる音楽も絶品だ。
実在の記者シドニー・シャンバーグに扮するのは、S・ウォーターストン。自国の軍隊に対して「暴露してやる」などと脅しをかける場面が印象的。ジャーナリズムとは言え、ずうずうしいまでの気勢を張った人間臭いキャラクターが良い。演技が特に高い評価を得た(オスカー受賞)のは、現地人記者を演じたH・S・ニョール。彼は、本作のためにスカウトされた素人俳優だが、彼自身も“赤いクメール(クメール・ルージュ)”の暴力をまさに身をもって体験した人物だったため、迫に真った演技を見せることができたのだという。
<<ストーリー>>
1973年のカンボジア。武装組織“赤いクメール”がロン・ノル政権に対して反乱を起こしている首都プノンペンに、NYタイムズの記者シドニーが取材にやってきた。彼は、政権側につくアメリカ軍が極秘に爆撃を行なっていた事実を知り、衝撃を受けた。翌年、プノンペンが“赤いクメール”の勢力に制圧されようとしていた。シドニーは、市民への虐殺を恐れ、ガイドとして同行していた現地記者プランの家族をアメリカへ逃がした。
内戦が終り、崩壊したロン・ノルに代わって“赤いクメール”を率いていたポル・ポトが政権についた。だが、シドニーとその記者仲間のロックオフとスウェインは、取材中に“赤いクメール”に捕まってしまった。駆けつけたプランの仲裁により、釈放されたシドニーたちは、難民の集まるフランス大使館へ逃げ込んだ。シドニーたちは、命の恩人であるプランをアメリカへ連れて行くため、彼のパスポートを偽造しようとするが、失敗。プランだけが“赤いクメール”により連行されてしまった……。
<<キャスト>>
[シドニー・シャンバーグ]
サム・ウォーターストン
[ディス・プラン]
ハイン・S・ニョール
[アル・ロックオフ]
ジョン・マルコヴィッチ
[ジョン・スウェイン]
ジュリアン・サンズ
[大使館つき武官]
クレイグ・T・ネルソン
[アメリカ領事]
スポルディング・グレイ
[マセンティア医師]
ビル・パターソン
<<スタッフ>>
[監督]
ローランド・ジョフィ
[製作]
デイヴィッド・パットナム
[製作補]
イアン・スミス
[脚本]
ブルース・ロビンソン
[撮影]
クリス・メンゲス
[音楽]
マイク・オールドフィールド
[美術]
ロイ・ウォーカー
[編集]
ジム・クラーク
[キャスティング]
ジュリエット・テイラー
マリオン・ドーティ
スージー・フィッギス
パット・ゴルデン