<<ストーリー>>

さくらと博の夫婦が、ついに念願かなって、マイホームをローンで手に入れた。そんな時、寅次郎がひょっこりと“とらや”に帰ってきた。さっそく、さくらと博の新居を見に行った寅次郎は、その家の二階に自分の部屋があることをさくらから知らされた。感激した寅次郎は、その夜、源公から借りた大枚二万円を新築祝いとして博に差し出した。だが、中に入っている金額を知り、驚いたさくらと博は、五千円だけ貰って、残りを寅次郎に返そうとした。さくらと博のあまりに失礼な態度に腹を立てた寅次郎は、“とらや”を飛び出したのだった。
北海道の江差で商売をしていた寅次郎は、顔見知りだったテキヤ仲間のシッピンのツネが、腸閉塞で亡くなっていたことを知った。寅次郎はツネの墓参りをするため、彼の故郷である奥尻島へ向かった。ツネの家に挨拶に行くと、若い娘が応対に出てきた。生前のツネが自慢していた一人娘のすみれだった。ツネは大酒のみで女たらしだったため、すみれはさんざん苦労をかけられていたようだ。寅次郎はすみれと一緒にツネの墓参りをした。
その夜、旅館にいた寅次郎のもとに、すみれが土産持参で昼間のお礼にやってきた。家を出て行った母親に代わり、働きに出ているすみれは、高校を一年で中退してしまったため、まともな就職がままならなのだという。すみれの悩みを聞いた寅次郎は同情した。すみれはこれから東京へ出て働くつもりでいた。寅次郎はすみれをいったんは送り出したが、悪い男につかまらないか心配でたまらなくなり、結局、彼女に付き添って東京へ帰ることになった。
寅次郎が若い娘を連れて、“とらや”に帰ってきた。折りしも、この近辺にいるという婦女子誘拐犯の似顔絵が、偶然にも寅次郎の四角い顔にそっくりだった。寅次郎は、“とらや”に立ち寄った青山巡査に連行されそうになり、一悶着を起こした。すると、すみれが猛然と巡査に抗議。たじたじになった巡査は、誤解と知って引き上げて行った。その夜、寅次郎は、すみれの可哀想な身の上をさくらたちに話し、彼女を“とらや”に置いてくれるよう頼んだ。「父親代わりとして」「願いをかなえてやりたい」と、という寅次郎の言葉に押され、さくらたちはすみれの下宿を快諾したのだった。
すみれは、働きながら定時制の高校へ通うつもりでいたが、入学するには試験を受けなければならいなことを知り、途方に暮れた。寅次郎も、中学も禄に通っていないすみれが試験に通るはずがないと決めてかかっていた。だが、本人の聞いているところで、「無理だ」などと言って、すみれを傷つけてしまった寅次郎は、さくらと博に、勉強を教えてやって欲しいと頼んだ。翌日からすみれは、さくらと博に教わりながら、懸命に勉強に励んだのだった。
そして、迎えた試験当日。寅次郎はすみれに付き添って、学校へ向かった。すみれは学校へ着く前に、寅次郎に弱音を吐いた。すみれを自分の娘のように思っていた寅次郎は、「テキヤの子として一生、後ろ指を指されてもいいのか」と説得。寅次郎から勇気を与えられたすみれは、試験に挑んだ……。



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