消防署長は恋人との結婚を条件に保険金詐欺に協力するが、
消防士チャーリーの介在で事態は思わぬ方向へ……。
消防署を舞台にした短編コメディ。
チャップリンの
消防士
(
消防士
)
(
チャップリンの消防夫
)
THE FIREMAN
1916
アメリカ
29分
モノクロ
サイレント
<<解説>>
いつもの浮浪紳士スタイルではなく、消防士に扮したチャーリーの活躍を描く。前半は消防署内でのドタバタ。後半は屋外に舞台を写し、チャーリーたちが火災と戦う様子を描く。実際にセットに火をつけて火災を再現したり、フィルムを逆回転させて馬車をバックさせたりといった特撮が意欲的。
物語は、エドナの父が保険金詐欺を計画し、あとから娘が巻き込まれていることを知って大騒ぎするというもので、『船乗り生活』と同じパターン。消火活動に消極的だったチャーリーが、クライマックスで見せる超人的な活躍が気持ち良く、垂直の壁をロッククライミングの要領でよじ登るというアクションが見どころだ。今回、仲間の消防士たちはチャーリーの引き立て役であり、ギクシャクとした動作がオモチャの兵隊みたいで楽しい。
<<ストーリー>>
消防署の防災訓練。署長の鳴らしたベルで、寝ていた消防士たちは飛び起きて来るが、御者のチャーリーはまだベッドの中。ようやく気付いて、馬を消防車につないだはいいが、消防士たちを乗せずに出発。署長に大目玉をくらい、「今度遅れたらクビだ」と怒鳴られた。その言葉が応えたチャーリーだったが、少々敏感になり過ぎたようだ。朝食を報せる鐘や郵便配達の鐘を出動のベルと勘違いし、署内を行ったり来たり。
チャーリーがそのボンクラぶりに怒った署長に追いかけられていると、エドナが父と一緒に署を見学しにやってきた。エドナは署長の恋人だったが、チャーリーのことが気になるようで、チャーリーの方もまんざらではない。一方、エドナの父は、娘と結婚させる条件を署長に耳打ち。それは、家が全焼して保険金が下りることである。父と署長は密約を交わしたようだった。
署長がエドナと父を家まで送っている間に、訓練ではない本当の火事が発生した。火事になった家の主は、すぐに消防士に通報するが、いつまでたっても消防車が現われる気配が無い。というのも、その頃、チャーリーは同僚とゲームに夢中だったのだ。しびれを切らした主は直接、消防署へ向かい、火事だと叫び続けた。署長がいないので怠けていたチャーリーもついに重い腰を上げ、署長を呼びにエドナの家へ向かうが……。
<<キャスト>>
[消防士]
チャールズ・チャップリン
[娘]
エドナ・パーヴィアンス
[消防署長]
エリック・キャンベル
[父]
ロイド・ベイコン
[火事になった家の主]
レオ・ホワイト
[消防士]
ジョン・ランド
フランク・J・コーマン
ジェイムズ・T・ケリー
<<スタッフ>>
[脚本/監督]
チャールズ・チャップリン
[脚本]
ヴィンセント・ブライアン
[撮影]
ローランド・トザロー
ウィリアム・C・フォスター
[背景]
E・T・メイジー
<<プロダクション>>
[提供]
ミューチュアル・フィルム