<<ストーリー>>

サーカスのプリマドンナであるマーナは、芸に厳しい団長の父にしごかれていた。最近、ショーの受けが芳しくなく、苛ついていた団長は、輪くぐりを失敗をしたマーナに、容赦なく食事抜きの罰を言い渡した。
サーカスのテントの建つ広場に、文無しの浮浪者チャーリーが現われた。広場の賑わいを冷やかしていたチャーリーの横には、ちんけなスリ。スリは、証拠隠滅のため、盗んだ財布をチャーリーのポケットに押し込まれた。そうとも知らないチャーリーは、いつのまにかポケットに入っていた大金に大喜び。だが、財布の持ち主が現われたことで、スリと間違えられたチャーリーは、警官に追われるはめに。
サーカスのテントの中では、今様にショーの真っ最中。だが、ピエロの面白くない芸に観客の誰もがシラけきっていた。その時、奇妙な小男がショーに乱入してきた。警官に追われてテントに逃げ込んできたチャーリーである。警官と追いつ追われつするその小男のこっけいな動きに、観客は爆笑と喝采をおくった。ショーは、チャーリーのおかげで大成功のうちに幕を閉じたのだった。
団長はさっきの小男を探すが、いつのまにか姿を消していた。その頃、警官をまいたチャーリーは、疲れきってリヤカーの中で眠っていた。団長はショーの片付けをしている最中に、ゴミとして捨てられそうになっていたチャーリーを発見。サーカスで雇う約束をし、明日の朝、またここへ来るようチャーリーに告げた。
翌朝早く、テントの前にやってきたチャーリーは、トーストとゆで卵の朝食を作っていた。チャーリーが鍋から離れている間、目を覚ましたマーナがやってきた。昨日から何も食べてなかったマーナは、周囲に誰も居ないのみると、チャーリーのトーストを盗み食いしてしまった。戻ってきたチャーリーは、トーストを勢い良く食べている若い娘の姿に驚くが、彼女があまりに腹をすかせている様子だったので、出来上がったゆで卵も差し出したのだった。
団員に命じられるまま、チャーリーはオーディションを受けることになった。団長は試しに、チャーリーにコントをやらせてみることに。とろこが、何をやらせても不器用な上、飲み込みもいちじるしく悪い。昨日、あれだけ客を沸かせた男とは思えなかった。ついに怒り出した団長は、雇う約束を白紙に戻し、彼をテントから叩き出した。マーナはそんなチャーリーに親切に接し、さっきの卵のお礼を言うのだった。
その日の一回目のショーが始まった。チャーリーは親切にしてくれたマーナのことが気になり、テントの継ぎ目から中の様子を窺っていた。その頃、テントの中では、賃金に不満を持っていた小道具係が急に辞めてしまった。小道具係が必要な出し物が迫っていたため、焦った団長は、「誰でも良いから雇って来い」と団員に命じた。団員が連れてきたのは、テントを覗いていたチャーリーだった。
こうして、チャーリーは小道具係に臨時で雇われた。さっそく、山積みの皿をステージに運ぶことになったが、勢いあまって客席に飛び込んでしまった。その後も、奇術の小道具を滅茶苦茶に操ったりなど、収集のつかないほどの失敗の数々を演じた。団員はチャーリーの不器用さにあきれ返り、早くもクビを考えた。だが、団員の意に反し、チャーリーの醜態は客に大受けだった。団長はチャーリーをコメディアンとして雇うことに決めた。
サーカスに客が戻ってきたものの、チャーリーとマーナの不幸な人生は変わらなかった。というのも、団長はチャーリーがつけあがらないよう、彼に自分が人気者であることに気付かせず、小道具係としてこき使っていたからだ。一方、マーナの待遇も相変わらずで、食事抜きの日々が続いていた。チャーリーはそんなマーナを気遣っては、ときどき、団長に内緒で食べ物を運んでやるのだった。
ある日、チャーリーは、マーナから自分がサーカスの花形であることを教えられた。それは、彼が薄々気付いていた通りのことだった。自信をつけたチャーリーは、団長がいつものようにマーナに体罰を与えようとしていた時に、意を決して、「彼女を殴るなら辞めてやるぞ」と叫んだ。チャーリーは、マーナの待遇を良くした上、120ドルへの昇給も勝ち取ったのだった。
サーカスの団員として、チャーリーとマーナが幸せな日々を送っていたある日のこと。マーナが占い師に将来をみてもらうことになった。その様子を楽屋から立ち聞きしていたチャーリーは、マーナが近くにいる男性と恋に落ちて結婚するということを知った。きっと自分のことだと思い、躍り上がったチャーリー。団員のはめていた指輪を5ドルで買取っり、結婚の準備を万端整えた。
だが、チャーリーの幸せは、ほんの僅かな間だけだった。サーカスは、レックスという名の綱渡りの名手を新しく団員に迎えていた。マーナは、背の高くハンサムなレックスに恋をしたのだ。占いの結果は、チャーリーの勘違いだった。すっかりしょげてしまったチャーリーは、自分の出番がきても元気が出ず、客の笑いをとることができなかった。一方、レックスは華麗な芸で観客を沸かせた。チャーリーは、突然現われて幸せをぶち壊したレックスのことが気に入らず、仮の尻を蹴とばしたい思いでいっぱいだった……。



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