ゴールドラッシュに湧くアラスカにやってきた探鉱家が
山小屋で凶悪犯と遭遇したことから巻き起こる騒動を描くコメディ。
1925年に製作されたコメディの改訂版。

チャップリンの
黄金狂時代
サウンド版

( 黄金狂時代 サウンド版 )

THE GOLD RUSH

1942  アメリカ

72分  モノクロ   サイレント



<<解説>>

チャップリン映画の長編二作目。前作『巴里の女』では主演していないため、チャーリーが登場する初の長編ということになる。『サウンド版』は、初のトーキーである『独裁者』発表後、1925年の『黄金狂時代』を改訂したもので、チャップリンの語りと音楽が付け加えられている。また、96分であったオリジナル版からシーンをカットし、72分に短縮されている。『街の灯』以降、映画として洗練されていく前に作られたドタバタ喜劇の集大成的という意味では、真にチャップリンらしい作品だ。チャップリンのアイデアが惜しげもなく盛り込まれた内容はファンの間で評価が高く、特にオリジナル版は最高傑作との呼び声が高い。
大爆笑コメディと銘打たれているが、実は、かなり恐ろしい映画である。特に金鉱と凶悪犯のからむ雪山の場面では、人間の欲望と凶暴性を抉り出していて、ブラック・コメディという呼ぶのも生易しい。空腹のあまり靴を茹でて食べるシーンは、チャップリンを代表する有名なギャグだろう。狂気と笑いの綱渡りを奇跡的に成し遂げているのである。中盤のロマンスは、前半のあまりに強烈なギャグとの温度差が上手く作用し、心底ホッとさせられる挿話となってる。そして、特撮を駆使して描かれる山小屋の転落シーンは必見。傾いた小屋にしがみつき、「動くな。息もするな」は、もう無条件で可笑しい。よーく見ると、細かいところで現代のコメディにも受け継がれている“お約束”を連発しているので、そういう原典を探しながら観るのも楽しい作品だ。



<<ストーリー>>

金鉱が発見されたアラスカの雪山に一攫千金を夢見る人々が押し寄せていた。探鉱家チャーリーもその一人である。チャーリーは山の中で猛吹雪にみまわれ、一軒の山小屋に避難した。すると、そこには、自分の金鉱を探し当てたばかりの探鉱家ビッグ・ジムが。そして、もう一人、指名手配中の凶悪犯ブラック・ラーソンがいた。
吹雪がおさまると、チャーリーはジムと別れて下山。ジムは自分の金鉱に行くが、そこには彼の金を横取りしようと、ラーソンが待ちうけていた。ジムはラーソンに殴られて昏睡状態に。だが、ラーソンも幸運が続かず、足場が崩れて奈落の底へ落ちていった。その頃、鉱山の麓の町にやってきたチャーリーは、酒場の女ジョージアに一目ぼれをしていた……。



<<キャスト>>

[探鉱家]
チャールズ・チャップリン

[ビック・ジム・マッケイ]
マック・スウェイン

[ブラック・ラーソン]
トム・マーレイ

[ハンク・カーティス]
ヘンリー・バーグマン

[ジャック・キャメロン]
マルコム・ウエイト

[ジョージア]
ジョージア・ヘイル



<<スタッフ>>

[監督/製作/脚本/音楽]
チャールズ・チャップリン

[撮影]
ローランド・トザロー