30年にわたり音楽教育に情熱をかたむけた教師の姿を描く感動作。
陽のあたる教室
MR. HOLLAND'S OPUS
1995
アメリカ
143分
カラー
<<解説>>
もともはバンド活動をしていた主人公が、作曲の時間が欲しいという軽い気持ちで教師の道に入る。はじめは、仕事に不満ばかりをもっていた主人公だったが、しだいに教育に熱心になっていく。主人公の教師は、何か大変な功績や残したり、問題を起こしたりしたわけではない。教育の姿勢にしても、特別に変わった授業を行なったわけでも、極端な熱血教師であったわけでもない。どの学校にもいそうな十人並みの教師なのである。そんな教師が教育に熱中し、教え子たちからも慕われていく様が、1965年からはじまり、公開当時の1995年までの30年間を通して、素晴らしい音楽をバックにしながら描かれていく。
善人役の似合うドレイファスが理想の教師に扮するというキャスティングや、繊細ではあるが意外性のないストーリー展開は、地味と言ってしまえば地味である。しかし、奥ゆかしく嫌味もない出来栄えは、ごく普通の教師の物語を際立たせただけでなく、それを抵抗なく観客の心に受け入れさせることに成功している。もし、自分の恩師に重ねて観ることができれば、より味わい深いものになりそうだ。物語には、生徒の知らない教師の私生活に迫ったところがあり、映画的な面白さを加えている。数少ない劇的な演出として、聾唖の息子との確執があり、主人公が手話でレノンも名曲を歌う場面は涙ものだ。しかし、それにしても、現実でもありそうな演出にとどめられており、気分を殺ぐことはない。派手な作品ではないが、日本の『二十四の瞳』にも通じる感動作で、特にラストは音楽の威力もあり、純粋にあたたかな気持ちに浸ることができる。
<<ストーリー>>
1965年。バンドマンだったグレン・ホランドは、好きな作曲の時間がとれると思い、高校の音楽教師の職を選んだ。ところが、学校では日々の仕事に追われるばかりで、作曲している暇などなかったのだった。仕事が忙しい上、教室の生徒たちにもやる気が見られず、ホランドには教師という仕事に対するに不満ばかりが募っていった。だが、生徒たちに音楽へ興味を持たせることに成功させると、教育への情熱に目覚め、やがて生徒たちに親のれる人気の教師になっていった。
ホランドと妻アイリスとの間に息子のコールが誕生した。だが、コールが生まれつき耳が聞こえないことが分かった時、ホランドは、音楽の素晴らしさを息子にに伝えることが出来なくなったと思い絶望した。そのショックのあまり、ホランドは学校での教育にこれまで以上に熱心になり、息子を避けるようになっていった……。
<<キャスト>>
[グレン・ホランド]
リチャード・ドレイファス
[アイリス・ホランド]
グレン・ヘドリー
[ビル・メシター]
ジェイ・トーマス
[ヘレン・ジェイコブス]
オリンピア・デュカキス
[ウォルターズ]
W・H・メイシー
[ガートルード・ラング]
アリシア・ウィット
[コール・ホランド(13歳)]
ジョセフ・アンダーソン
[ガートルード・ラング(成人)]
ジョアンナ・グリーソン
<<スタッフ>>
[監督]
スティーヴン・ヘレク
[製作]
テッド・フィールド
マイケル・ノリン
ロバート・W・コート
[製作総指揮]
スコット・クルーフ
パトリック・シーン・ダンカン
[共同製作]
ウィリアム・ティートラー
ジュディス・ジェイムズ
[脚本]
パトリック・シーン・ダンカン
[撮影]
オリヴァー・ウッド
[音楽]
マイケル・ケイメン
[音楽監修]
シャロン・ボイル
[美術]
デイヴィッド・ニコルズ
[編集]
トゥルーディ・シップ
[衣装デザイン]
アギー・ゲラード・ロジャース
[キャスティング]
シャロン・ビアリー