アメリカ空軍と武器商人が新型ステルス戦闘機の争奪戦を繰り広げるスカイ・アクション。

インターセプター

INTERCEPTOR

1992  アメリカ

92分  カラー



<<解説>>

「この設定は何々に似ている」「このストーリーは何々と一緒だ」という批判が意味を持たない映画がある。それは、エンターテインメントとしての機能性を満たすことのみを目的とした作品である。そもそも、映画の世界では、「作品とはこうあらねばならない」という主義や主張が、他の芸術ほど盛んではないようだ。それは、映画がたかだか百年程度の歴史しかない持っていない未熟な文化であることや、その誕生の瞬間からビジネスと直結しているせいであるのかもしれない。作り手がそれぞれが好き勝手にやっているカオス状態であることの良し悪しはともかくとし、多種多様な作品に出会えることが映画観賞の醍醐味のひとつであることは、異論のないところだろう。作家性や芸術性の追及を良しとする作品があり、一方では、それとはまったく逆のベクトルを目指した本作のような作品がある。どちらが優れているとは一概に言うことはできない。しかし、本作が、機能性至上主義としての純度が著しく高い作品であることは断言できる。
ひとりの米空軍兵士が様々なトラブルに遭いながらも、果敢にテロリストを追い詰めていく。その活躍の過程だけでも、エンターテインメントの機能性は十分に有している。しかし、本当の主人公は兵士ではない。それは、物語のキーとなる最新鋭のステルス戦闘機そのもの。つまり、結局のところ、「5000フィートの上空でステルス機が飛びまくる様をいかにカッコ良く見せるか」が、最重視される作品なのである。ストーリーは、そのシチュエーションを満たすことだけに奉仕すれば良い。あと必要なのは、ステルス機を引き立てるための悪役だけである。今回は、ステルス機に引けをとらない程度に存在感のある悪役として、『U・ボート』のユルゲン・プロフノウが選ばれた。彼はこれ以降、東側のテロリストのボスという役がハマり役に。B級と言ってしまえばそれまでだが、贅沢に予算を使ってまで追加しなければならない要素はありえるだろうか? ステルス機vsステルス機の一騎打ちのスピード感と迫力で食欲を満たす。いったい、それ以上に何が望まれようか? 機能性のみを重視し、余分なものをいっさい殺ぎ落とした本作のスタイルは、同様の理由を持つステルス機のスタイリッシュさと奇しくも重なるものがある。
本作は、アクション映画全盛の90年代の中頃までは、テレビの洋画劇場で定番作品だった。人気もあったようで、その拠として、本作のプロデューサのヘス=カルバーグにより、同じくステルス機の争奪戦を描いた作品『インターセプター2』が作られている。



<<ストーリー>>

米空軍の新型ステルス戦闘機の飛行実験が中東で開始されようとしていた。だが、機に故障が発生したため、実験は中止に。二機のステルス機は、秘密裏にアメリカへ送り返されることになった。ウィンフィールドたち空軍兵士たちは、大型輸送飛行機に乗り込み、アメリカに向けて出発。だが、フィリップス率いる武器商人の一団によって、輸送機がハイジャックされてしまった。
フィリップスたちの狙いが、輸送飛行機に積まれたステルス機であることに気付いたウィンフィールドたちは、戦いを挑んだ……。



<<キャスト>>

[フィリップス]
ユルゲン・プロホノフ

[クリス・ウィンフィールド]
アンドリュー・ディヴォフ

[ジャネット・モーガン]
エリザベス・モアヘッド

[エンジニア]
J・ケネス・キャンベル



<<スタッフ>>

[監督]
マイケル・コーン

[製作]
ケヴィン・M・カルバーグ
オリヴァー・G・ヘス

[製作総指揮]
マーク・アミン
ダニエル・ドーティ
マイケル・C・グリーン
フランク・コステンコ・ジュニア

[脚本]
マイケル・フェリス
ジョン・ブランケイトー

[撮影]
リー・レッドモンド

[音楽]
リチャード・マーヴィン

[編集]
グレン・モーガン

[視覚効果監修]
リック・ケリガン