竜巻で魔法の国に飛ばされた少女と奇妙な仲間たちの大冒険。
名作童話を映像化したファンタジー・ミュージカル。

オズの魔法使

( オズの魔法使い )

The WIZARD of OZ

1939  アメリカ

101分  モノクロ/カラー



<<解説>>

世界中で親しまれるL・フランク・ボームの夢あふれる童話「オズの魔法使い」をミュージカル化。「オズ」の物語を原作とした映画は、忠実に映像化したものから、大胆な翻案物まで無数に存在するが、その中で本作は決定版と言える名作。主題歌「虹の彼方に」も映画音楽屈指の名曲である。
カンザスの場面がモノクロ、オズの国の場面がカラーで撮られていることをはじめ、魔女が現われては消えるトリック撮影や、かかし、ブリキ男、ライオンの特殊メイクなど、当時のSFXの粋を集めた映像が見どころ。16歳にして純真無垢な少女を演じきったジュディ・ガーランドの気概もさることながら、彼女を支えた脇役たちの達者な芝居も忘れてはならない。中でも、マーガレット・ハミルトンが活き活きと演じる“西の魔女”のインパクトは絶大で、大人でもトラウマになりそうなほどだ。物語が伝えるメッセージやユーモアも素朴で嫌味がない。本来は子供向けかもしれないが、子供に返ることで癒されたい大人の観賞にも十分耐える作品だ。
ちなみに、「オズ」の物語を原作とした映画の中でも特に有名なのは、オール黒人キャストで描いたミュージカル『ウィズ』と、「オズの魔法使い」の続編「オズの虹の国」と「オズのオズマ姫」を基にしたディズニー映画『オズ』。



<<ストーリー>>

内気な少女ドロシーは、エムおばさんとヘンリーおじさんと、三人の農夫ハンク、ジーク、ヒックリーに囲まれ、平和に暮していた。ドロシーの悩みは、意地悪な大地主ガルチさんのこと。今日も愛犬のトトをいじめられた。ドロシーはエムおばさんに、ガルチさんことを訴えるが、相手にしてもらえなかった。ひとり思い悩んでいたドロシーは、エムおばさんから「悩みのない国にでも行けばいい」などと言われてしまうのだった。
ガルチさんが農場にやって来て、自分に噛み付いたトトを処分すると言った。トトはガルチさんに連れて行かれるが、バスケットから抜け出し、農場に戻って行った。ドロシーは、トトが戻ってきたことを喜ぶが、ずくにガルチさんが連れ戻し来るだろと考え、家出をすることにした。トトを連れて家を飛び出したドロシーは、水晶占いのマーベル教授と出会った。マーベル教授に占ってもらったドロシーは、自分を心配したエムおばさんが倒れたと知り、慌てて家に帰った。その時、カンザスに嵐がやって来た。ドロシーは家の中でエムおばさんを探すが、既におばさんや農夫たちは地下室に避難していた後だった。竜巻の直撃を受けた家は舞い上がり、中にいたドロシーは気絶した。気がつくと、窓の外には見知らぬ景色が広がっていた。
ドロシーとトトは、家ごと竜巻に飛ばされて、どこか遠くの国にやってきてしまったのだ。家から外に出たドロシーの前に、ドレスを着た北の良い魔女ドリンダが現われた。ドリンダは、ドロシーが東の悪い魔女を倒したと言った。見ると、魔女が家の下敷きになっていた。ドロシーは、東の魔女に苦しめられていた東の町の住人マンチキンたちから感謝と歓迎を受けた。その時、東の魔女の妹で姉よりさらにたちの悪い西の魔女が現われた。なぜか、西の魔女はガルチさんにそっくりだった。西の魔女はドロシーに復讐しようとするが、この町では魔力が仕えないことを知ると、引き返していった。ドロシーは、東の魔女が履いていたルビーの靴をドリンダから贈られた。だか、ドロシーの望みは、カンザスに帰ることだった。ドリンダは、エメラルドの都にいる魔王オズならその願いをかなえてくれるだろう、と、ドロシーに教えた。ドロシーとトトは、オズに会うため、旅に出発した。
エメラルドの都に行くには、黄色いレンガの道を辿れば良いという。ところが、途中で黄色いレンガの道が二股に分かれていた。ドロシーが困っていると、親切なかかしが道を教えてくれた。なぜか、かかしはハンクとそっくりだった。かかしはカラスに馬鹿にされるのを悩んでいて、頭が良くなりたい思っていた。ドロシーは、オズから脳みそをもらうことをかかしに提案し、エメラルドの都への旅に誘った。
しばらく黄色いレンガの道を行くと、ブリキで出来た男が突っ立っていた。木を切りに来たところを雨に降られ、さび付いてしまったのだ。ドロシーが油を指すと、ブリキ男は動き出した。なぜか、ブリキ男はヒックリーにそっくりだった。ブリキ男は職人が心を入れ忘れたために、体の中が空っぽだった。ドロシーは、オズから心をもらうことをブリキ男に提案し、エメラルドの都への旅に誘った。
またしばらく行くと、草陰からライオンが現われた。ライオンはかかしとブリキ男を脅かしていたが、ドロシーにちょっと叩かれると泣き出してしまった。なぜか、ライオンはジークにそっくりだった。ライオンは見かけによらず臆病で、不眠症に悩んでいた。ドロシーは、オズから勇気をもらうことをライオンに提案した。かくして、ドロシー、トト、かかし、ブリキ男、そしてもライオンは、一緒にエメラルドの都を目指すことになった……。



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