<<ストーリー>>

ワイアット・アープはアイオワの農場の三男として生まれ、多くの兄弟に囲まれて育った。法律家で厳格な父のニコラスは、最後に頼れるのは身内だと心得ていて、「血が一番」と口癖のように言っていた。ワイアットはそんな父の影響を受けた。南北戦争が終結し、ワイアットの兄ヴァージルとジェームズが戦地から戻ると、父は、新天地カリフォルニアに行くと家族に宣言した。
カリフォルニアへの長い旅の途中、ワイアットが母からの言いつけで、ある町に買い物に出かけた。その時、ワイアットは酒場の前で男たちの喧嘩に遭遇した。二人の男は銃で撃ち合い、片方が死亡した。凄惨な事件を目の当たりにしてショックを受けたワイアットは、世の中には平気で人を殺す人間がいることを、父から教わった。また、父は、もしそういう人間と戦うことになったならば、「ためらわずに息の根を止めろ」と忠告した。
それから7年後のワイオミング。ワイアットは逞しい青年に成長していた。ある日、ワイアットが賞金試合の審判をしていたところ、彼の采配が気に入らないという男に喧嘩を売られる破目になった。その男はエド・ロスという札付きのワルだったが、ワイアットは隙を見て撞球を投げつけ、相手を倒した。ロスからガンベルトを取り上げたワイアットは、密かにある決意を固めていた。
父の後を継ぐべく、法律の勉強をするためにミズーリにやってきたワイアットは、幼馴染みのユリラに求婚した。結婚したら生活の足しに保安官になるつもりであることをユリラの家族に打ち明けた。こうして、ワイアットはユリラと結婚。やがて、ユリラは妊娠するが、二人の幸せは長くは続かなかった。ユリラの異常なつわりは、彼女がチフスにかかっていることを示していた。ワイアットはユリラを懸命に看護するが、間もなく彼の腕の中で息を引き取った。妻の死のショックで自棄的になったワイアットは、自宅に火を放つと、町から姿を消したのだった。
9ヵ月後のアーカンソー。あれからというもの、ワイアットは酒に溺れ続け、厩で寝泊りするほどうらぶれていた。ある夜、自分を酔っ払いとしてすげなくあしらった男に腹を立てたワイアットは、その男を殴り倒して馬を盗んだ。馬を売り払った金で飲んだくれていたワイアットは、娼館にいたところを保安官に逮捕された。牢屋の中で呆然としていたワイアットに父が会いにやって来た。父はワイアットの弁護を買って出て、彼を保釈させたのだ。
馬泥棒の罪は重く、縛り首はまぬがれようになかった。父は、「人生は悲しみしかない。でも生きていくしかない」と言うと、ワイアットに、アーカンソーを出て二度と戻らないよう命じた。それ以来、ワイアットは酒を断ち、バッファロー狩りの仕事に精を出した。仕事を探していたエド・マスターソンとバット(バーソロミュー)の兄弟を雇い、彼らを家族同然の扱いで迎え入れた。
乱獲によりバッファローが少なくなると、ワイアットたちは兄ジェームズを頼り、カンザス州ウィチタに移った。ワイアットがジェームズの経営する酒場で働き始めたある日、ならず者が酒場に立て篭もる事件に遭遇した。銃を撃ちまくる相手は手をつけられない状態で、保安官補も尻込みをしていた。ワイアットは保安官補に代わって酒場に乗り込み、あっという間に男を捕まえた。その手際の良さを買われたワイアットは、その場でスカウトを受け、月給100ドルで保安官補に任命されたのだった。
モーガンが美しい妻のルーとウィチタにやって来た頃、ダッジ・シティからラリーという男がワイアットを訪ねてきた。ラリーは、牛泥棒におびやかされている町を守って欲しいとワイアットに依頼。一人逮捕するごとに報酬を出すという条件だった。マスターソン兄弟と共にダッジ・シティに移ったワイアットは、厳しい態度で悪党たちに法を守らせた。町は平和になったが、ワイアットの取締りに対し、やりすぎだとする批判が高まり、彼は保安官をクビになってしまった。
保安官を辞した失ったワイアットは、悪党ルダバーの追跡を請け負い、テキサス州のフォート・グリフィンにやってきた。この町では、いつかの賞金試合に出場した友人のシャンシーが酒場を営んでいた。ワイアットがシャンシーにルダバーの行方を尋ねると、そのルダバーのことを嫌っているという男を紹介された。そのドク・ホリディという名の男は、元歯医者の賭博師で、人殺しの経験もあるならず者だった。また、彼は結核を患っていて、余命もそれほど長くはないようだった。
ワイアットがダッジ・シティを去った後、彼の後釜についたのは、エドだった。だが、ならず者から銃を取り上げようとした際に相手といざこざを起こし、命を落としてしまった。ワイアットはエドの訃報を電報で知らされると、ダッジ・シティに戻り、悪党たちを厳しく取り締まった。町が無法地帯から元の平和をとり戻した頃、ダッジ・シティにドクが“デカ鼻とあだ名される恋人のケイト・エルダーと一緒にやって来た。
ある夜、ワイアットは酒場の舞台で踊る踊り子の女性に目を奪われた。その頃、悪党と戦う日々に嫌気が指していたワイアットは、保安官を辞めて静かなところで暮したいと考えるようになっていた。具体的には、トゥームストーンで鉱山を買い、事業を興す計画を持っていた。その考えを知った兄弟の妻たちからは反発を食らったが、ワイアットの決心は変わらなかった。
アリゾナ州トゥーム・ストーン。ワイアットは娼婦のマティ、ジェームズ、ヴァージル、モーガンとその妻たち、そして、ドクと一緒に移り住み、共同生活を送るようになった。だが、鉱山の運営は思うように行かず、結局、他の町にいた時のように保安官として生活を支えることになっていた。
町には、アイク・クライトンを中心とした悪党の一団がいて、ワイアットたちとしばしば対立した。その日も、幌馬車襲撃の容疑でクライトン一家のフランク・スティウェルとビート・スペンスが裁判にかけられていたが、アイクの援助で保釈となり、ワイアットは口惜しい想いをしたのだ。クライトン一家とのつながりを噂されるビーハン郡保安官は、クライトンを敵に回さないようワイアットに忠告。それを脅しと捉えたワイアットは、ビーハン反発し、クライトン一家への対抗心も強くした。
悪徳保安官と呼ばれるビーハンにも、ユダヤ娘のジョージーという美しい恋人がいた。ワイアットは、町にやって来たジョージーを一目見て、いつか目にした踊り子だということに気付いた。ジョージもワイアットがダッジ・シティの保安官だったことに気付き、次第に惹かれ合っていった……。



クレジットはこちら